平和への願い、歌にのせ 曲水の宴、平泉の毛越寺で5年ぶり

5年ぶりに平安の歌遊びを再現した曲水の宴=26日午後1時30分、平泉町・毛越寺

 岩手県平泉町の毛越寺(藤里明久貫主)で26日、5年ぶりに「曲水(ごくすい)の宴(えん)」が開かれた。新型コロナウイルス禍を経て自由に集えるようになった今年の歌題は「語(かたる)」。県内外から多くの見物客が訪れ、平安の優雅な風情に浸った。

 曲水の宴は、境内の大泉が池に注ぐ遣水(やりみず)という水路に、杯をのせた小舟「羽觴(うしょう)」を流し、水辺に座った歌人は手元に流れてくるまでに歌を詠む平安貴族の遊び。鮮やかな新緑の下、十二単(ひとえ)をまとったいわて純情むすめの高橋美有さん=一関市厳美町出身=が歌題を披露し、6人が短冊に歌をしたためた。

 主客歌人は、金色堂が建立900年を迎える中尊寺の奥山元照貫首が務めた。「如是我聞(にょぜがもん) ひとすじの水語りつぐ 浄土の願い 大泉が池」と詠み、奥州藤原氏から今に伝わる平和への願いに思いをはせた。

 次回は2026年5月に開かれる予定。

© 株式会社岩手日報社