岸田首相「アニメ・ゲームを基幹産業に」ワンパターン政策によぎる不安…思い出される「クールジャパン機構」累積損失356億円の地獄絵図

インドネシアで開催された「クールジャパン」の祭典(2012年、写真:AP/アフロ)

政府が新たな「クールジャパン戦略」を計画している。岸田文雄首相が本部長を務める「知的財産戦略本部」が、2019年以来、5年ぶりとなる新たな「クールジャパン戦略」を6月に発表する。

「クールジャパン戦略は、世界から『クール(かっこいい)』と評されている日本の『食』『アニメ』『ポップカルチャー』『ゲーム』などのブランド力を高め、日本ファンの外国人を増やして、日本発のソフトパワーを強化することです。

2010年6月に経済産業省が『クールジャパン室』を設置してクールジャパン戦略を国策にすることを決めました。その後、2012年に稲田朋美議員が初代大臣(クールジャパン戦略担当大臣)に任命され、現在は高市早苗内閣府特命大臣が舵取りしています」(経済担当記者)

6月からの新戦略について、5月25日、読売新聞が原案を報道。

「記事によると、2022年、アニメなどコンテンツ産業の海外展開は過去最高の4.7兆円になったそう。これは鉄鋼産業の5.1兆円に肩を並べます。

そのため、政府はアニメやゲームなどをクールジャパンの『基幹産業』として、海外展開をさらに推進するため、若手クリエイターやアーティストらを支援していくことになりました。

クールジャパン戦略には、農林水産物の輸出先の多角化なども含まれます。これは、東京電力福島第1原発の処理水海洋放出で、中国やロシアが日本産水産物を全面禁輸していることから、あらたに取り組む課題となりました」(週刊誌記者)

このことが報じられると、SNSではさまざまな意見が寄せられた。Xでは、

《もう万策つきました!最後の一手でクールジャパン推します!ってことかなぁ》

《クールジャパン、そもそも自分でクールとか言っているやつはクールか?という疑問があり》

《「農林水産物の輸出先を多角化する事」がなぜ「クールジャパン」なのか小一時間問い詰めたい》

などのコメントに加え、これまでもクールジャパン戦略に多額の予算がつぎ込まれてきた経緯から、

《クールジャパンまだやってんのか。もうやめろ。税金無駄に使うな。これまでに実施した案件の費用対効果の確認はしたのか?》

など、批判的な意見も多い。

「2023年10月31日の参議院予算委員会でも、そのことが議論になりました。蓮舫議員が質問に立ち、発足から10年たった2022年決算での投資額、累積損益を当時の経済産業大臣だった西村康稔氏に質しました。

西村氏は『投資実績が161億円、累積損益がマイナス356億円』と答弁しましたが、これは計画を3回見直した結果の金額です。つまり何度見直しても、費用対効果が見込めなかったということですから、今後も赤字垂れ流しの “地獄絵図” となりかねません。

西村氏は『成果が上がらない場合に統合するか廃止する』との考えも示し、『まさにラストチャンス』と答弁しています。6月の新プランは、まさに最後の試金石となるはずです」(政治担当記者)

ワンパターン政策でさらに赤字が出たら、すなわちそれは国民負担となることを忘れてもらっては困る――。

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