「常に難しい相手」敵国が脱帽する日本男子バレーの”選手層”。パリ五輪に警戒強める「優れたアタッカーを擁しているので…」【ネーションズリーグ】

ライバル国から警戒の声が上がっている。

現地5月25日、世界のトップ16によるバレーボール最強国決定戦「ネーションズリーグ(VNL)」のブラジル大会で、男子の日本代表(世界ランク3位)はイタリア代表(同4位)と激突。セットカウント1-3(25-23、16‐25、17‐25、17-25)で敗れ、今大会初黒星。予選ラウンド第1週を3勝1敗で終えた。

2022年の世界バレー王者相手に第1セットを奪取したが、その後はイタリアの高さに苦しみ3セットを連取され、力負けした日本。だが、今夏のパリ五輪で1972年大会以来、52年ぶりのメダル獲得を目指すチームにとって、大きな収穫を得た大会でもあった。

昨秋にパリ五輪予選を兼ねたW杯バレーでグループ上位2か国に入り、すでにパリ切符を獲得している日本。ブラジル大会には主将且つエースの石川祐希と、世界最高峰セリエAのモンツァで今シーズン主軸として活躍した高橋藍が不在ながら、チームの底上げを図り、メンバーを入れ替えながら試合に臨むと怒涛の開幕3連勝。左のエース・西田有志を中心に、強烈なスパイクを連発し急成長を遂げる宮浦健人、20歳の新星・甲斐優斗などが躍動。選手層はより厚みを増した。

第3戦キューバとフルセットの死闘を制した宮浦は試合後のインタビューで、「誰が出ても活躍できる。五輪とは違う戦いになると思うが、この経験は糧になる」とキッパリ。敗北したイタリア戦では反省点を口にしていたが、確かな手応えを掴み、6月4日から開幕する日本ラウンド(福岡)に照準を合わせた。
レギュラークラスを欠くなか、世界トップと互角以上の戦いを見せる日本男子バレーの実力に敵国は警戒を強めている。

スイスのバレーボール専門メディア『Volleyball World』によると、22年の世界バレーでMVPを受賞したイタリアのセッター、シモーネ・ジャネッリは「日本は非常に優れたアタッカーを擁しているので、常に難しい相手だった」と評す。先取された第1セットの攻防については「難しかった」と言い、日本の攻撃に苦戦したことを認め、第2セット以降は戦略を変えるなどして対応したと振り返っていた。

地元開催となる予選ラウンド第2週は、いよいよ石川と高橋が合流する。五輪本番に向け、数少なくなった世界トップとの実戦でチームは上積みを図る。

構成●THE DIGEST編集部

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