M4 iPad Proの出荷台数、900万台以上の快進撃?決め手は「驚きの安さ」か

Image:PatrickAssale/Shutterstock.com

今月アップルが発売したM4 iPad Proは、日本国内では高価すぎるとの声もあるが、それは急激に進んだ円安の影響が大きい。米国での価格は11インチが999ドル~であり、前モデルの799ドル~から小幅の値上げに留まる。

その滑り出しの勢いはどうかといえば、出荷目標台数が900万台以上と推定され、低迷するIT機器市場のなかでは注目に値すると報じられている。

台湾の電子業界誌DigiTimesは調査会社Omdiaの予測を引用し、2024年のOLED(有機EL)デバイス総出荷台数は1210万台に達し、そのうち「ハイブリッドOLED」パネルが812万台、全体の61.7%を占めると言及。

ここでいうハイブリッドOLEDとは「タンデムOLED」の別名であり、名前の由来はリジッド(折り曲げできない)とフレキシブル(折り曲げ可能)技術を融合したことだ。様々なOLEDデバイスがあるなか、M4 iPad Proの新モデルにのみ採用された技術である。

さらに韓国の業界筋によると、2024年内のM4 iPad Pro向けパネルにつき、LGディスプレイの出荷目標は500万台、サムスンディスプレイは400万台以上とのこと。それぞれ13インチと11インチの製造を分担すると見られており、パネルの出荷台数=各iPad Proの台数を意味している。

こうした好調ぶりは、M4 iPad Proの「安さ」が起爆剤となっているのかもしれない。信頼性の高いディスプレイ専門アナリストRoss Young氏でさえ、タンデムOLEDのコストを考えれば、前モデルより最大50%高くなってもおかしくなかったと述べていた

またアップルも、iPad Proの値上げにより買い控えが起きると懸念していたフシもある。OLEDパネルの発注数を当社の予定より20~30%減らしたとの報告もあったが、空振りを避けるべく価格を抑えたのかもしれない。

調査会社CIRPは、iPadユーザーの40%が最大3年以上もデバイスを使い続けているとのデータを発表していた。その理由の1つは、iPadOSにiOSにはない専用機能、特にデスクトップとしての機能が不足していること。もう1つは、リセールバリュー(下取り価格)が低いため、新機種に乗り換えにくいことを挙げていた

iPadとMacの機能を両方使えるハイブリッド機器は何度も噂されつつ、そのたびに実現せずに終わっていた。最近も折りたたみiPad/Macが数年内に登場するとYoung氏が予想していたが、アップルが両デバイスの垣根を壊すのか、それとも維持し続けるのか注視したいところだ。

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