「Copilot+PC」の目玉機能Recall、RAM 4GB未満の古いPCで動作に成功

Image:Microsoft

マイクロソフトは最近、Windows 11 PC上で見たモノ全てを検索できる新機能「Recall」を発表した。数秒ごとに閲覧中の画面をスナップショットで保存しておき、後からドキュメントやビデオ会議、動画までCopilotを通じて探させたり、時間軸のスライダーで過去に遡れるというものだ。

このRecallについてマイクロソフトは、今後各社から発売される「Copilot+PC」準拠のWindows 11 PC専用機能だと述べていたが、実は古いマシンでも使えることを実証したユーザーが現れた。

Copilot+PCのことを、マイクロソフトは「クアルコム製Snapdragon Xシリーズチップのような強力なNPUを搭載したマシン」と定義している。この定義に沿うなら、Snapdragon X以前のPCではRecallが動作しないことになる。

が、Windowsを解析して未発表の機能を発見することで知られるAlbacore氏は、Copilot+PCよりも遙かに劣った仕様のデバイスでRecallを動かすことに成功した。同氏はマイクロソフトが正式発表する前、当時「AIエクスプローラー」の仮称で呼ばれていたRecallをいち早く見つけた人物である。

ここで使われたデバイスは、サムスンのGalaxy Book2 Go。古いARMベースのSnapdragon 7c+ Gen 3プロセッサと、わずか3.4GBのRAMを搭載しているマシンだ。

Galaxy Book2 GoはRecallの最低要件とされるNPUもなく、RAM 16GBも搭載していない。にもかかわらず、Albacore氏はこの機能が「驚くほど良く」動くと述べている。

まだRecallの機能は公式には詳しく説明されていないが、この動画ではスナップショットを分析できる「Screenray」の動作がよく分かる。検索結果がテキストファイルの場合は、コピー&ペーストも可能。また画像であればコピーするか、アプリで開いて編集するかのオプションも選べるようだ。

理論的にはインテルやAMD製チップでも動くはずだが、まだマイクロソフトは各PCメーカー企業にArm 64固有のML(機械学習)モデルしか提供していないため、現時点では不可能とのこと。

ただし、「事実上、動く」ことと、「動作が望ましい」ことは別ものだ。まずNPUを搭載していれば、AIアクセラレーションにより動作が高速化しつつCPUの負荷が減るが、NPU無しの場合に他のシステムにどのような影響が出るか不明である。

また、PC上で行った全てが記録されるRecallは、プライバシー上の懸念もある。実際、英国のプライバシー監視団体は、まだRecallが正式に稼働する前に(記事執筆時点では、正式に動くマシンは市場に出ていない)調査を開始している。Recallのセキュリティ保護がCopilot+PCと密接に結びついているのであれば、要件を満たさないPCでは個人情報が流出するリスクが高まるだろう。

Recallは、次期大型アップデート「Windows 11 バージョン24H2」で正式に提供される予定だ。このバージョンは現在Release Previewチャネルでリリースされており、今年秋に一般公開される見通しである。

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