【ラクロス(男子)】早慶戦3連覇に「思い残すことはない!」 藤岡・田代ら4年の躍動で六大戦の雪辱果たす 岩城&大類は鮮烈早慶戦デビュー/第32回早慶ラクロス定期戦

早慶ラクロス定期戦(以下、ラクロス早慶戦)。その観客動員数の多さと注目度の高さゆえに、国内最大規模とも呼び声高い伝統の一戦が、今年も日吉陸上競技場で開催された。勝負の行方を一目見ようと大勢の観客が集まり、会場は立ち見が続出するほどの超満員。溢れんばかりの観客に見守られ、32回目を迎えるラクロス早慶戦が幕を開けた。第1Q、両者の思いがぶつかり合う中、均衡を破ったのは田代豪(商4・慶應NY)。田代の先制ゴールに続き、藤岡凜大(政4・慶應)が2得点で3−0。続く第2Qでも、田代、落合優椰(政4・慶應)、藤岡のゴールで4点を追加し、田代と藤岡は早くもハットトリック達成。1点を返され、7ー1で前半を折り返す。第3Qはパスミスが目立ち、守りの時間帯も増えるが、G・岩城敦大(法2・慶應)のファインセーブがチームのピンチを救う。すると、藤岡が貫禄の4点目を叩き込み、8ー2で最終Qへ。迎えた第4Qは2失点も、大類慈英(商2・慶應)が待望の早慶戦初ゴールで弾みをつけると、試合終了1分前に奥澤拓馬(商4・慶應)がロングシュートでダメ押しの10点目。慶大は序盤のリードを存分に活かして、10ー4で早大に勝利。早慶戦3連覇を果たした。

◇スタメン

AT

#3 藤岡凜大(政4・慶應)

#7 田代豪(商4・慶應NY)

#90 池田朋史(商3・慶應)

MF

#51 石村嶺(経4・慶應)

LMF

#17 関根瑠偉(政3・慶應)

DF

#16 奥澤拓馬(商4・慶應)

#19 増田友翔(経3・慶應)

#22 小川健(政4・慶應)

G

#79 岩城敦大(法2・慶應)

FO

#63 村田陽世(環4・慶應)

♢得点♢

1Q	2Q	3Q	4Q	計
慶大	3	4	1	2	10
早大	0	1	1	2	4
慶大得点者	田代、藤岡(2)	田代(2)、落合、藤岡	藤岡	大類、奥澤	―

大学トップレベルの強さを誇る慶大と早大の直接対決。観客席には他大学のラクロス部員の姿も多く見られるなど、その注目度の高さが伺える。先に行われた女子戦では、慶大が12ー8の逆転勝ちで早慶戦4連覇を果たし、会場の盛り上がり・応援は準備万端。早慶両校の応援が鳴り響く中、男子戦のFOを迎える。

ゴール裏から攻撃を展開する主将・藤岡凜大

第1Q、試合開始のFOからいきなり早大にシュートまで運ばれるが、ゴール左に外れて慶大のクリアから試合がリスタート。クロスワークに長けている慶大は、パスを回しながら攻撃を展開する。得点こそならないが、主将の藤岡凜大、落合優椰、田代豪ら4年生を中心に積極的にシュートを放つ。一方の早大も、力強いDFでクリアライド。隙あらばターンオーバーで慶大ゴールに迫るなど、両チームの思いが激しくぶつかり合い、一進一退の攻防が繰り広げられる。早慶戦初出場の2年生G・岩城敦大も、ファインセーブを連発してチームを援護する。早大ファウルで慶大攻撃となると、寺町陽太朗(経4・慶應)がその強靭なフィジカルで、正面から向かってくる早大DFをものともせず突破。早大DFを置き去りにして一気に駆け上がり、会場を大きく沸かせる。そして12分、ゴール裏の藤岡からパスを受けた田代が、華麗なスタンシューで1ー0。待望の先制点を掴み取り、日吉陸上競技場に「若き血」を轟かせる。さらに残り45秒、中西海(経3・海城)がゴール前で粘りをみせ、ゴール裏の藤岡にパスを出すと、藤岡が得意のまくりシュートでゴール。さらに、FOのこぼれ球をグラウンドボールを得意とするLMF・関根瑠偉(政3・慶應)が華麗に掬い上げ、田代、藤岡へとパスを繋ぐと、藤岡がクリース内に侵入。早大Gの正面に食い込み、至近距離から強烈なシュート。瞬く間にボールをゴールネットに押し込み3ー0。慶大の立て続けの得点に、会場は大興奮。主将・藤岡と田代の「ホットライン」を中心に流れを手繰り寄せ、3ー0で第1Qを終える。

藤岡とともにハットトリック達成の田代豪

第2Qでも、最後の早慶戦という大舞台で4年生が躍動。エキストラマンオフェンスの慶大は、開始直後からゴール前の素早いパス回しで早大DFを翻弄。積極的に攻撃を仕掛けていく。2分、大類慈英が放ったシュートは早大DFに阻まれるも、そのこぼれ球を田代豪がすかさず拾い上げ、ゴールに押し込んで4ー0。この一打が、慶大攻撃陣にさらなる勢いをもたらす。その後も、FOや早大選手のパスミスにうまく反応して、チャンスメイク。池田朋史(商3・慶應)からパスを受けた落合優椰が自らゴール前まで走り抜け、華麗に追加点を挙げる。中盤には、藤岡凜大の正確なパスを受けた田代豪が左敵陣から相手選手の間をすり抜けるアンダーシュートを放って早大を突き放すと、そのわずか2分後には、藤岡が体勢を崩しながらも精度の高いまくりシュート。田代、藤岡は第2Qにして早くもハットトリックを達成。エースとしての貫禄をこれでもかと発揮する。前半終了まで残り5分、ここまで失点を0に抑えていた慶大だったが、タイムアウト明けに早大の冷静なパス回しからのシュートに反応できず、1点を返される。守備では、G・岩城敦大のビッグセーブを筆頭に、DF陣が健闘。厳しいチェックやプレッシャーで早大の攻撃を抑え、ピンチを乗り切る。攻守ともに強さを発揮した慶大は、一度も早大に流れを渡すことなく7ー1で前半を終える。

早慶戦の大舞台でファインセーブ連発の岩城敦大

6点リードで迎えた第3Qは、FOから相手ポゼッションとなり、第1Qと同様にシュートまで持っていかれるが、G・岩城敦大のファインセーブがまたもチームを救う。慶大のクリアで再開するも、パスがこぼれたところから激しい混戦に。早大がイリーガルボディーチェックで2分間のマンダウン。慶大は、数的有利の状態で攻撃のチャンスを迎えると、慶大OF陣は無理にシュートを放つことはせず、丁寧なパス回しで好機を探る。タイミングを見計らい、落合優椰や田代豪がシュートを放つが、惜しくもゴルネットを揺らすことはできない。第3Qは、パスがこぼれてしまう場面が多く見られるが、大類慈英や田代の激しいチェックでターンオーバーを防ぐ。直後には、早大のクリアでフェイクから鋭いシュートを放たれ、ヒヤリとする場面も。それでも、大山颯輝(経3・慶應)がクリアに成功し、ゴール裏で待ち構える絶対的エース・藤岡凜大のもとへ。藤岡は、得意とするゴール裏からの1on1を巧みなステップで制し、今度はGとの1on1に持ち込むと、そのまま技ありのゴール。藤岡は4度目のゴールで、8−1と早大をさらに突き放す。その後は、副将・佐藤孝紀(政4・慶應)を中心に懸命なディフェンスで相手の攻撃を抑えるが、一瞬の隙を突かれて8ー2。それでも、大山颯輝が見事なクリアで再び攻撃のチャンスを演出すると、早大のスラッシングでまたも数的有利に。ゴールを刺すことはできないが、良い形で第3Qを終える。

力強いシュートを放つ大類慈英

迎えた最終第4Q、早大のマンダウン継続により慶大は数的有利な状態で攻撃を開始。このまま早大に勝ち切るべく、慶大の応援も一段と盛り上がりをみせる。慶大のスラッシングにより、今度は慶大のマンダウンで守りの時間帯へ突入。ここでも、やはりG・岩城敦大が早慶戦初出場とは思えぬ堂々たるセーブを連発し、会場を沸かせる。峰岸諒(環2・慶應湘南藤沢)と佐藤孝紀も早大OF陣とマッチアップ。厳しいチェックで牽制するが、悔しくもゴールを許し8ー3とされる。すると、早大のタイムアウト明けにさらなる失点を喫し8ー4。今度は、慶大がタイムアウトを取り、立て直しを図る。FOからの大混戦で早大ボールとなるが、慶大は陣形を変えながら守備を展開していく。ホールディングで慶大のエキストラマンオフェンスとなると、ここもじっくりパスを回して攻めていく。そして10分、石村嶺(経4・慶應)からゴール右斜前方でパスを受けた大類慈英が、早大DFの空いたスペースをついて力強いスタンシューでゴール。これには、同じく2年生にして早慶戦の舞台で躍動するG・岩城も大類のもとへ駆け寄って、喜びを爆発させる。9ー4の5点リード、残り1分の場面で、早大のオフサイドにより慶大ポゼッションとなると、自陣でパスを受けたDF・奥澤拓馬がセンターラインからの見事なロングシュート。その場に居合わせた誰もが、思わずその行方を目で追うと、ボールはワンバウンドした後、軽やかにゴールネットへ吸い込まれていく。これで10ー4、慶大の勝利を確信させるダメ押しのゴールに慶大応援からは大歓声。慶大は、そのままリードを守り切り、10ー4で早大に勝利した。

最優秀選手として表彰を受ける岩城敦大

この試合、実に11回の「若き血」を轟かせ、六大戦の雪辱を果たすと同時に、早慶戦3連覇を成し遂げた。なお、閉会式で発表された最優秀選手には、2年生G・岩城敦大選手が選出された。今年の早慶戦は、なんといっても主将・藤岡凜大や田代豪を中心とした4年生の活躍がチームを大きく勝利に導いたといって過言ではないだろう。下級生の頃から試合に出場しているベテラン揃いの4年生が攻守ともに試合を作る中で、2年生のG・岩城敦大や大類慈英をはじめとした下級生の活躍も要所で見られ、慶大の強さと層の厚さを再確認することができた。これから、日本一に向けてどんな戦いを見せてくれるのか、今後が楽しみで仕方ない。

早慶戦のベンチ入りメンバー

(記事・写真:重吉咲弥、岡里佳、長掛真依、取材:竹腰環、岡澤侑祐)

主将/AT・藤岡凜大選手(政4・慶應)

ーー最後の早慶戦、勝ちました。率直に今のお気持ちは

六大戦で負けていたので、一番は安心した、ほっとしたという気持ちが正直なところです。

ーー六大戦で敗れた中で、どのような戦い方を意識されていたか

戦術面で、やっぱり先手先手を打っていかないと、終盤にかけて徐々に流れを持っていかれて負けてしまったのが早稲田戦だったので。常に攻めの姿勢というか、リードしてからも常に攻め続ける姿勢というのはチーム全体で統一してやっていたかなと思います。

ーーDF陣が怪我から復帰したというのもあると思いますが、今回の勝因は

メンツもやっぱりあるんですけど、六大戦の時よりチームとしてこの戦い方だったら勝てるよね、というのを全員で共通認識を持ってできたというところは大きいかなと思います。

ーー4得点でハットトリック。ご自身のプレーを振り返って

ディフェンスの守り方を見ながら、自分のプレースタイルを変えようと思って試合に入っていて、最初結構慎重になりすぎたなと思っていたので、第1Qの途中くらいから思い切ってプレーできたのは個人的にはよかったかなと思っています。

ーー「勝って反省」というお言葉もありました。もっと伸ばせるなというところは

やっぱりフルフィールドのところ。全体、オフェンスからディフェンスに変わるとき、ディフェンスからオフェンスに変わるときっていうのがチームとしての弱いところで、そこで早稲田に流れを持っていかれかけた時間帯があったので、そこは一つ大きな課題かなと思います。

ーーちなみに、早慶戦に悔いや思い残したことは…

いや!もう自分が出た早慶戦は全部勝っているので!もう悔いなく、来年からはOBとして応援しようと思っています!

ーーリーグ戦に向けて意気込み

あくまでここは通過点なので、今日は大きな、大事な試合でしたけど、これを糧にしてさらに日本一に近づけるように頑張っていきたいと思います!

© 慶應スポーツ新聞会