【中国】全固体電池、中国勢が続々と特許申請[車両]

中国の自動車メーカーが電気自動車(EV)向けの次世代電池「全固体電池」(電解質を固体に切り替えた電池)の開発を急ピッチで進めている。関連特許で先を行く日本勢を追いかけ、早期の実用化に向けて続々と特許申請を行っている。

中国自動車最大手の上海汽車集団は24日、全固体電池の量産を2026年に始める計画を発表した。エネルギー密度は1キログラム当たり400ワット時を超える水準と、従来の動力電池に比べ倍になると説明。傘下の高級EVメーカー、智己汽車科技が27年に発売する車両に全固体電池を採用する。

広州汽車集団も12日、独自開発した全固体電池を26年に車両に搭載すると表明した。傘下の広汽埃安新能源汽車(AION)のブランド「昊ハク(Hyper、ハク=金へんに白)」の車両に採用する。

全固体電池はEVの航続距離を飛躍的に延ばす次世代電池として注目が高まっており、日本や米国、韓国でも開発が進められている。トヨタ自動車は、早ければ27年に全固体電池を搭載したEVを市場に投入する方針を掲げる。

全固体電池の関連特許の申請数は、日本が世界を大きくリードしている。特許庁が4月に発表した特許出願技術動向調査によると、複数の国・地域に出願された「国際展開発明件数」(13~21年)で日本籍(出願者が日本人・日本企業)の申請の割合は48.6%と首位だった。韓国籍は17.6%、米国籍は12.9%、欧州籍は11.9%で、中国籍は5.8%にとどまった。

一方、中国勢は直近2年で固体電池分野の特許申請を加速させている。第一財経日報(電子版)によると、知的財産情報サービスを提供する「智慧芽」がまとめたデータでは、特許申請数全体に占める日本籍の割合は4割と依然高かったが、中国籍が26.6%と猛追している。

業界関係者によると、中国工業情報省は固体電池と次世代電池の産業政策の立案に取りかかっており、政策投入で開発を奨励する狙いだ。関連の財政投入の期待も高まっている。

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