衆院議席増へ 「重点区」の栃木県に立民幹部が続々 裏金逆風の自民、募る危機感

街頭演説で支持を訴える立民の岡田幹事長(左)=8日午後、JR小山駅前

 次期衆院選に向け、立憲民主党が本県を「重点区」に位置付け、攻勢を強めている。全勝した4月の衆院3補欠選挙以降、党幹部が相次いで本県入りし、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を批判して政権交代を訴えた。6月初旬には、泉健太(いずみけんた)代表もマイクを握る予定という。一方、衆院3補選に続き、26日の静岡県知事選でも敗北した自民。県連関係者は、やまぬ逆風に危機感を一層募らせている。

 「有権者が今の政治にピリオドを打ってほしい」。12日午後、立民の辻元清美(つじもときよみ)代表代行が東武宇都宮駅前で声を張った。4日前の8日午後には岡田克也(おかだかつや)幹事長がJR小山駅前で街頭演説。次期衆院選をにらんだ発言が目立った。

 党幹部の本県入りが続く背景には、3月に行った独自の情勢調査の結果があるという。立民関係者は「(衆院議席増に向け)かなりいい感触を得た」と明かす。保守地盤が強固とされる本県を「重点区」の一つに挙げ、立民は力を入れる。

 立民県連は次期衆院選で現在のところ、栃木1区、3区に新人候補、2区と4区に現職の擁立を見込む。衆院補選で「保守王国・島根1区」を制し、立民は本県でも追い風になると捉えたとみられる。泉代表は1区の宇都宮市のほか、3区の大田原市も巡る予定だ。

 県連関係者によると、幹部の本県入りは大半が党本部からの申し出。関係者の一人は「箸にも棒にもかからない選挙区には来ないだろう」と自信をのぞかせ、県連幹部は「今が勝負どころ」と語った。

 一方、与野党対決の構図となった静岡県知事選で推薦候補が敗北した自民。「政治とカネ」を巡る問題で有権者の評価は一層厳しさを増しており、県連幹部は「(衆院3補選を含め)4連敗。今、衆院解散したら、ぼろ負けだ」と深刻に受け止める。

 「自民の支持率は上がらず、防戦一方」。相次ぐ立民幹部の本県入りに、自民県連関係者は警戒感をにじませる。「逆風の中で大物弁士の街頭演説はマイナスになりかねない」と立民との違いを語り、地方議員らによる地道な支持拡大を続ける意向を示した。

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