ため息…大きな重機出現、勝手に“無許可”バイクコースを作ってしまう 国有地で驚き、木を伐採しジャンプ台も造成 車でバイクを運ぶ人も目撃「誰か分からない」 コースを作った人を特定し、原状回復させる指示へ

荒川上流河川事務所が立てた警告の看板。コースへと続く道は倒木でふさがれていた

 埼玉県熊谷市の荒川右岸の河川敷に、オフロードバイクコースが無許可で設営されている。敷地面積約2万平方メートルのコース内には、バイクが何回も通ったと分かるわだちや土を集めてできたジャンプ台のようなものも確認できる。河川敷を管理する国土交通省の荒川上流河川事務所によると、重機による土地の造成や、オートバイなどの走行による占拠が河川法に違反している可能性もあり、同事務所は警告看板を設置し、休日には見回りをするなどの対策に追われている。    荒川の土手を越えた先の農道を通り、林の奥の国有地にあるバイクコース。付近には麦や野菜の畑が広がっている。

 定期的に畑の手入れをしている農家の男性(67)は「(コースは)10年以上前からあった。誰が作ったかは分からないが、林の向こうからよく音が聞こえていた」と話す。以前は車にバイクを載せてくる人もいたといい、「迷惑をかけている感じはしないが、やるなら法律は守ってほしい」とため息を漏らす。

 男性によると、コース近くには約40年ほど前まで車のテストコースがあり、舗装された直線道路やロータリーの跡も残る。車が出入りするときは、このテストコース跡を通っていたという。

 同じく、近くに畑を持つ農家の女性(75)によると、コースの利用者は大きな重機でコースを整備したり、通り道を作るために樹木を伐採しており、その周辺の樹木は枯れていたという。コースから約400メートル離れた場所にあるスポーツ施設の職員は、コースがあるということを一部報道で初めて知った。同施設の駐車場を無断で使用するなどの迷惑行為はなかったといい、「見える位置ではなく、音も聞こえなかった」と話していた。

 同事務所がコースの造成を知ったのは昨年12月で、「重機を使って起伏を作っている人がいる」と一般の市民から情報提供があった。従来からバイクが数台走っていることは知っていたが、少人数でバイクで河川敷を走ることは河川法には抵触せず、騒音被害などの苦情もなかったという。

 今後同事務所は、コースを造成した人物を特定し、原状回復の指示をする。利用者に対しては、引き続き看板で利用の中止を促すとともに、今後コース内に柵を立てるなどして利用できないような対策を講じる予定。

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