「ゆるブラック」な職場で働く、若手の約4割が「1年以内の転職」を視野に。キャリア形成やスキルアップに不満

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近年、長時間労働の是正やワークライフバランスの重視など、働き方の見直しが進む一方、若手社員の間で「ゆるブラック」という概念が広がっている。

ゆるブラックとは、働きやすく居心地はよいものの、仕事のやりがいや成長を感じられず、スキルアップやキャリアアップが難しい職場のこと。

人財サービスのAdecco Groupの日本法人で、総合人事・人財サービスを展開するアデコは、20〜30代の会社員、公務員、団体職員1000人を対象に「ゆるブラック」に関する調査を行い、結果を5月29日に公表した。

調査結果からは、働きやすさやワークライフバランスの取りやすさだけでは、若手を職場に留めるには不十分であることが見えてきた。

勤務先をホワイト企業だと考えている若手の4割以上が「ゆるブラック」であるとも回答

調査ではまず、現在の勤務先がホワイト企業とブラック企業のどちらに当てはまるかを尋ねたところ、17.2%が「ホワイト企業」、51.7%が「どちらかといえばホワイト企業」と回答。若手社員・職員の約7割(68.9%、689人)が、自身の勤務先を「ホワイト企業」だと捉えていることが分かった。

ホワイト企業だと回答した689人に対して「あなたの現在の勤務先は『ゆるブラック』だと思いますか?」との質問には、8.3%が「そう思う」、32.1%が「どちらかといえばそう思う」と回答。合わせて約4割(278人)が、勤務先を「ゆるブラック」であると考えていることが明らかになった。

勤務先を「ゆるブラック」だと思う若手の4割が1年以内の転職を視野に

また、現在の勤務先が「ゆるブラック」であると回答した278人に、「今後1年以内に転職しようと考えていますか。実際に転職するかどうかは問いません」と聞いたところ、10.1%が「すでに転職活動をしている」、27.3%が「1年以内に転職しようと考えているが、まだ活動はしていない」と回答。「ゆるブラック」だと考えている若手社員・職員の約4割が、1年以内の転職を視野に入れているようだ。

最後に、回答者1000人に対して、①昇進・昇格 ②昇給 ③キャリア形成 ④スキルアップの各項目についての期待度を聞くと、「キャリア形成」について、約6割が「望めない」と回答。「スキルアップ」についても、5割以上が「望めない」と考えていることが明らかになった。

今回の調査結果について、アデコ・ピープルバリュー本部長の籾山直威氏は「若手が働きやすさやワークライフバランスを重視しているというのは、楽な仕事を求めているということではないことに、注意する必要がある」と指摘。

若手の人材が働きがいを感じながら、生き生きと仕事に取り組めるためには「企業は社内で成長の機会を提供し、スキルアップを含めたキャリア形成をサポートする必要がある」としている。

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