「プレーでは明らかに優れている」 CL決勝は多くのメディアがマドリー有利を強調! AIによる優勝予想はマドリー59%、ドルトムント19%

2023-2024シーズンを締めくくる最後の大一番、チャンピオンズリーグ(CL)決勝のドルトムント(ドイツ)対レアル・マドリー(スペイン)戦は現地時間6月1日、ロンドンのウェンブリー・スタジアムで行なわれる。

最多14回の欧州制覇を誇るマドリーは2021-2022シーズン以来の戴冠に王手をかけ、対して1996-1997シーズンに1度だけ優勝経験のあるドルトムントは、同国対決で敗れた2012-2013シーズン(バイエルンが勝利)以来の決勝進出で、2つ目のビッグイヤー獲得を狙っている。

ファイナリストの常連とも言えるスペインの「白い巨人」と、全くのノーマークの状況で各国強豪クラブを打ち破ってきた「BVB」との対決は非常に興味深いものだが、これまでの対戦成績を見ると、マドリーが6勝5分け3敗でリード。直近の対戦は2017-2018シーズンのグループステージで、いずれも3-2、3-1でマドリー(このシーズンに優勝)が勝利を奪っている。ドルトムントの最後の勝利は10年前、2013-2014シーズンの準々決勝・セカンドレグ(2-0)まで遡る。
ちなみにドルトムントが決勝に駒を進めた2012-2013シーズンは、グループステージで2-2、2-1と勝ち越し、準決勝ではファーストレグで4-1の大勝を収め、セカンドレグは0-2で合計スコアのリードを守り切った。シーズン単位でドルトムントがマドリーに勝ち越したのは、この時だけだ。

こうした過去を持つ両チームの対決について、各国メディアは独自の視点で大一番を提供しているが、ドイツの放送局『sport1』は、「マドリーは同カップの決勝で一度も負けたことがない。おそらくドルトムント戦でも、この記録は継続されるだろう」と、自国チームの敗北を予想し、以下のように綴っている。

「スペインの首都クラブは、プレーの面ではドルトムントよりも明らかに優れている。対して『黒と黄』のチームは、はパリ・サンジェルマン(準決勝)とアトレティコ・マドリー(準々決勝)に対して、特に守備面で多くを許さないことを印象的に示した。それにもかかわらず、マドリーが明らかにリードしていると見られ、両者の合計ゴール数が4.5ゴール未満に終わる守備的な対決を予想する」 一方、マドリー側ではクラブ専門サイト『Defensa Central』がAIによる予想を紹介。EURO2024をもっての現役引退を発表した中盤の名手トニ・クロースのラストマッチ、またMFオーレリアン・チュアメニの欠場が明らかにされているこの一戦について、やはりウェンブリーの勝者となるのは、カルロ・アンチェロッティ監督のチームだという。

その予測によれば、「マドリーがロンドンで15回目の優勝を飾る可能性は『59%』。90分で勝敗がつかずに延長戦に持ち越される(マドリー勝利)確率は『22%』だ。一方、ドルトムントのビッグイヤー獲得の可能性はマドリーのそれを大きく下回り、わずか『19%』しかない」という。

続いて、中立な立場から英国の日刊紙『Evening Standard』は、「今季、ノックアウトステージでは信じられないようなドラマが繰り広げられているだけに、CLの試合を予測するのは簡単ではない。ドルトムントはアトレティコやパリSGといった強豪を退けて見事に決勝に進出したが、ロンドンでの決勝は苦しいものになるかもしれない。マドリーは、そのプレー内容に関わらず、非常に打ち負かすのが難しいチームであり、全てが再び彼らの勝利を指し示しているようだ」として、「マドリーが3-1で勝利」と予想した。

このように、一様にマドリー有利が大勢を占めているが、スポーツ専門チャンネル『ESPN』のミゲル・シモン記者は、「ドルトムントがCLで優勝できる理由とは?」と題した記事で、今季のブンデスリーガ5位のチームがラ・リーガを制したチーム相手に偉業を達成できるという根拠を挙げている。
同記者は、「エディン・テルジッチ監督率いるチームが勝利を掴めるか否かは、好機を見逃さずに得点することに懸かっている。先制点が非常に重要であり、とりわけ強力な相手に対して、それは決定的だ。マドリーの攻撃を最小限に抑え、自分たちの最高のプレーを見せ、逆に相手にはそれをさせないようにする必要がある」と指摘し、実際に今季のCLで彼らがそういった戦いをグループステージから実践してきたことを、試合ごとに振り返った。

その上で、その戦力にも言及し、「マッツ・フンメルスとニコ・シュロッターベックのCBは非常に優れている」としながらも、ドルトムントの守備の強さは中盤によるところが多いとして、「エムレ・ジャンとマルセル・ザビツァーが良いデュオを形成し、パリSG戦ではジェイドン・サンチョとカリム・アディエミも攻撃面の貢献だけでなく、献身的な守備を見せた」と綴っている。

また、前線については「ニクラス・フュルクルクは絶対的なゴールゲッターではないが、存在感があり、フィジカルが強く、ボールもキープできる他、空中戦で相手を圧倒して、ドルトムントの今季を形成する重要なゴールを幾つか決めている」として、マドリーを苦しめることができる要素は揃っていることを強調した。

前述の通り、マドリーはクロースのクラブレベルにおける現役最後の試合であり、一方のドルトムントは長く攻撃の中心として君臨してきたマルコ・ロイスがこの一戦をもって退団することが決定している。彼ら偉大なレジェンドの最後の雄姿がピッチ上で見られるかも見どころのひとつとなる一戦、果たしていかなる結末が待っているのか。

構成●THE DIGEST編集部

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