「急に腐敗臭が漂ってきて…」水道水用のダムで魚が大量死 コイ・フナか…何が起きた? 水質は?

島根県松江市にあるダムで、コイやフナと見られる魚が大量に死んでいるという情報が視聴者から番組に寄せられました。このダムでは市民へ水道水を供給していますが、一体何が起きたのでしょうか。

視聴者からの情報で取材班が向かったのは松江市にある「千本ダム」です。

そこで見たものは…

土江諒 記者
「死んでますね。見えるだけで5匹は死んでいるのは確認できます。そして、時たま風が吹くと、キツイ腐敗臭がします」

水面には魚の死骸が浮かんでいました。

どれも30センチほどと結構大きなサイズで、死後時間が経ったせいか、骨がむき出しになっているものも確認できました。

番組に情報を寄せてくれた男性によると、4月末頃、1000匹以上もの魚の死骸を見つけたといいます。

情報を寄せた男性
「急に腐敗臭が千本ダムから漂ってきて、ぱっと見で30センチ間隔とかで浮いているんで魚が。1000匹以上ですよね」

今回、魚の死骸が確認された千本ダムは松江市の南部、西忌部町にある水道専用のダムです。
ここの水はダム下流にある浄水場で水道水に生まれ変わり市内に送り届けられていて、その量は、市内の水道水の3分の1にものぼります。

今回の件について、ダムを管理する松江市上下水道局は、点検の際、4月30日の時点で数匹の魚の死骸を発見したといいます。
これまでに150匹ほどの死骸を回収しました。

松江市上下水道局 浄配水課 飯野利昭 課長
「今回の事案が発生してからもずっと(水質を)監視していますが、今まで全然異常もありません」

これまで、今回のような魚の大量死はなかったといいます。
ダムで一体何が起きたのでしょうか?

24日、松江市上下水道局はホームページで調査の結果を発表しました。

松江市上下水道局HPより
「水質検査の結果、国が定める水質基準値以下であり、毒性物質や農薬についても「検出なし」又は「基準値等を大きく下回る」結果となりました」
「忌部浄水場ではダムの水を引き込んだ水槽でメダカを飼育、24時間体制で状態を監視しておりますが、こちらも異常はありません。そのほか、ダムにおいてもコイ科の魚以外、小魚のへい死は確認しておりません」

魚の死因については特定できず、水質についてはまったく異常がありませんでした。

松江市上下水道局 浄配水課 飯野利昭 課長
「飲み水につきましても検査をしていて、万全を期しているので安心して使っていただければと思います」

宍道湖自然館ゴビウスによりますと、今回死んでいた魚はコイやフナとみられるとのこと。

島根県は、ダムの他に川や池で魚の死骸を見つけた際は、国交省や県、市などの管理者にすぐ連絡してほしいとしています。

島根県 沿岸漁業振興課 中山創一朗さん
「ダムとか、湖とかだと、強風が吹くと表層の水が動いて、湖の底から酸素の少ない水が浅場にはい上がってきて、浅場の生き物が酸欠によって大量死する事例もあります。
コイのみが大量に死んでいる場合は、コイにしか感染しないウイルス性の病気も懸念されるので、県の水産部局まですぐにご連絡いただきたいと思います」

松江市水道局は今後ダムの点検頻度を増やし、異常がないかを注視していくということです。

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