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人間はわからないものにこそ興味を持つ生き物だ。たとえば、仮面を着けているキャラクターを見て「素顔はどうなっているんだろう?」と考えたことがない人は、おそらくいないだろう。
漫画の世界では、そんな人の好奇心を利用した仮面キャラが少なくない。興味を持てば持つほど、素顔が予想外であればあるほど、好奇心は新鮮な興奮にすげ替わる。そこで今回は、意外な素顔で読者を驚かせた漫画キャラを紹介しよう。
■豚と間違われたはずがまさかのハンサム!『キン肉マン』キン肉スグル
素顔が意外すぎたキャラで外せないのが『キン肉マン』(ゆでたまご(原作:嶋田隆司氏、作画:中井義則氏))の主人公、キン肉マンことキン肉スグルだ。
キン肉星の王子でありながら、宇宙船からうっかり地球に捨てられてしまったキン肉マン。捨てられた理由が「宇宙船にしのびこんでいた豚と間違われた」からというからひどい! しかし、いわれてみれば豚に見えなくもないマスクではある……。
そんなキン肉マンだが「キン肉星王位争奪編」で垣間見せた素顔は、目鼻立ちがはっきりしていてとてもハンサムなのだ。普段のおちゃらけた姿とのギャップもあいまって、かなりモテそうである。
「素顔を他人に見られたら自害しなくてはいけない」というキン肉星の掟さえなければ、豚に間違われることはなかっただろう。そうなると地球にキン肉マンがいなくなってしまうが。
■美少女なのに近眼で顔が…『Dr.STONE』スイカ
約7000年後の世界で文明を復興させる科学サバイバル漫画『Dr.STONE』(原作:稲垣理一郎氏、作画:Boichi氏)に登場するスイカは、ハロウィンのカボチャのようにスイカを頭に被っている女の子だ。
登場時から顔を見せようとしなかったスイカは、第28話「CLEAR WORLD」でその素顔を披露する。
そこにいたのはくりっとした瞳がなんとも愛らしい美少女! と思いきや、直後に老婆のようなしわくちゃ顔になってしまい、周囲を驚かせた。
豹変の真相は、スイカの“近眼”だ。眼鏡のない7000年後の世界では視力矯正の手段がなく、物を見ようとするには顔を「くしゃっ」とさせながら目を細めなくてはならない。その顔が恥ずかしくて被り物をしていたというわけだ。
スイカが素顔を明かすこのシーンは、美少女の顔とくしゃっとした顔の描き分けがすさまじい。Boichi氏の高い画力が伺える。
■素顔は爆弾!? 『ダイの大冒険』キルバーン
次は『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』(監修:堀井雄二氏、原作:三条陸氏、作画:稲田浩司氏)から、大魔王バーンの側近であるキルバーンだ。「死神」の異名で恐れられる彼は道化師を連想させる黒い画面を着けており、普段も道化師のように振る舞っては勇者パーティーを惑わせた。
最終回でようやく明かされたキルバーンの素顔は、なんと地上を滅ぼす爆弾「黒の核晶」を埋めこんだ人形だった。いつもキルバーンのそばにいた“ひとつ目ピエロ”のピロロこそが本物のキルバーンであり、ダイたちがキルバーンと思っていた人形を彼が操っていたにすぎなかったのだ。
大魔王バーンを倒し、あと大団円だと思い込んでいた読者を大いに驚かせたこの大どんでん返し。「意外すぎた」という意味では、間違いなくジャンプ漫画史に残る素顔ではないだろうか。
■超重要伏線が敵幹部に潜んでいた『ONE PIECE』キング
尾田栄一郎氏が描く『ONE PIECE』(集英社)は、世界の謎をちりばめる壮大な伏線が持ち味とされている。その魅力のひとつを担ったのが、“四皇”カイドウが率いる百獣海賊団の最高幹部・キングだ。
黒く威圧的なマスクを被るキングは、ロロノア・ゾロとの戦いのなかでマスクを切り裂かれ、隠していた素顔を暴かれる。褐色の肌に真っ白な髪が映える風貌で、ナイスミドルという言葉がふさわしい美形だったのだが、問題はそこではない。
キングが持つ身体的特徴は「ルナーリア族」と呼ばれる種族特有のもので、はるか昔は“神”と呼ばれた絶滅種の生き残りと判明したのだ。
世界観の根底にかかわる存在が敵幹部にいたとは……これだから『ONE PIECE』は油断ならない……と、あらためて知らしめたのがキングといえる。いったい「ルナーリア族」は何者で、何が起きて絶滅しかけたのか。未だ謎に包まれた「ルナーリア族」の詳細はいつ明かされるのか、これからも楽しみでならない。
隠されれば気になるのが人間というもの。仮面キャラは出てきた時点で素顔を想像されるもので、読者の予想を裏切るのはなかなか難しい。
それでも「えー!?」と驚かれる意外性を見せつけたキャラこそが、読者の記憶に残る名キャラクターとして残るのだろう。