「医師から回答をもらえるのがすごく安心」“小児医療過疎地”をアプリで24時間サポート【現場から、】

40年以上にわたって地域を支えてきた小児科医の引退により、子どもの医療が手薄になっている静岡県伊豆市。子育て世代をサポートしようと24時間、医師に相談ができる静岡県内初の取り組みがスタートしました。

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伊豆市内に住む森田さん一家です。妻の藍さんは、育児の中で不安なのが、急な子どもの体調の変化だといいます。

<父・森田裕介さん(32)、母・藍さん(33)>
「(子どもは)日中元気でも、急に夕方から熱が上がってきたり、夜中に39度とか40度とかあるので、日中より夜の方が。大体(電話は)つながらないし、不安が多いかな」

そんな森田さんの家に今月届いた1通の封筒。静岡県内で初めて、伊豆市が導入した24時間、医師に相談ができるアプリのお知らせです。「LEBER」といわれるアプリは、チャット形式で医師に24時間相談をすることができ、文章だけでなく、言葉では説明がしづらい子どもの症状や異変を画像や動画で送ることもできます。

56の診療科の医師が登録されていて早ければ3分、遅くても30分で返信が来ます。身体の不調だけでなく、心の悩みなど幅広い分野に対応していることも特徴です。

<母・森田藍さん(33)>
「24時間体制っていうのはありがたくて。やっぱり、携帯から気軽にっていうのはすぐに相談しやすかったかなって」

伊豆市がこのアプリを導入した背景にあるのはある小児科医の引退です。

<伊豆市子育て支援課 森嶋哲男課長>
「惠子先生が昨年引退されて、その引退によって保護者から夜間診療どうしたら良いかって不安の声がありまして」

中島惠子医師は伊豆市で40年以上、小児科医を務め、2023年9月に引退するまで夜中でも診療を行っていました。

<中島惠子医師>
「普通の時で(患者は1日)10人から20人くらいじゃなかったかなって気がしてます。ちょっと学校に行きにくいよとか、そんな相談とかもあったんですけど。深夜でも子どもさん具合悪いよって時とか、それはやらせていただいていた」

6歳以下の子どもを持つ家庭が約500世帯ある伊豆市では、中島医師のように夜間診療を行っている小児科はありません。そこでスマホを通じて全国の医師に助けてもらうことにしました。対象は、伊豆市に住む妊婦と6歳以下の子どもがいる世帯で、家族も無料で利用することができます。

<父・森田裕介さん(32)>
「こんな感じで相談として、皮膚がかぶれているってなって、写真付きで相談をこのアプリでできて、本当に10分もたたないくらいで回答が来ましたかね」

<母・藍さん(33)>
「今の時代、みなさんネットで検索出来たり症状で調べることはできるんですけど、お医者さんから回答をもらえるっていうのが、すごく安心できましたね」

<伊豆市子育て支援課 森嶋哲男課長>
「約1週間で100件ほどの登録があったと聞いている。今後、相談のことから救急、消防の救急へつながっていくことができればと思っている」

従来の地元に密着した医師から最新のアプリを活用した地域医療へ。子育て世代が暮らしやすい町をつくるため伊豆市の模索は続きます。

<東部総局・竹川知佳記者>
以前から静岡県内では「#8000」に電話をかけると看護師や小児科医に相談ができる仕組みがありましたが、チャットで画像や動画も送れるというのは便利に感じます。このアプリは、静岡県内で伊豆市以外に森町でも5月から導入されていて、これからの地域医療での活用に期待が高まっています。

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