窪木「メダル持ち帰る」 五輪3種目出場、「自転車王国」継承へ

パリへの切符を手に「メダルを持ち帰りたい」と日の丸を背負う覚悟を語った窪木=静岡県伊豆市

 自転車王国の系譜をつなぐ―。パリ五輪に出場する自転車トラック種目男子の窪木一茂(34)=ブリヂストン、学法石川高卒=ら日本代表は29日、静岡県の日本競輪選手養成所で記者会見した。福島県勢が自転車競技で五輪に出場するのは6大会連続だ。窪木は故郷や練習拠点とする静岡県への思いを募らせ「メダルを持ち帰りたい。それが、自転車選手や若い選手のためになる」と決意を込めた。

 窪木は2016年リオデジャネイロ五輪以来、2度目の五輪となる。この日は出場種目も発表になり、かねて目標にしていた個人のオムニアム、2人チーム戦のマディソン、4人チーム戦の団体追い抜きの3種目での出場が決定。「自分が望んでいたこと。思いっきりレースをしてきたい」と自信をのぞかせた。

 オムニアムで14位に終わったリオ五輪から8年。「リオの思い出は残っていない。14位という結果で全然歯が立たなかったことだけ今でも覚えている」と、悔しさを胸に窪木は進化してきた。

 4年前からは競輪に挑戦し、スプリント力を強化。また日の丸を背負う覚悟も強くなった。「結果を残し続けなければ、この立場にいられないと思ってずっとやってきた。中距離で今の自分はかなり上位のレベルで、メダルは見える位置にある」。積み重ねてきた鍛錬と経験が語らせる確かな自信が、言葉にみなぎった。

 窪木自身が五輪を目指したのは、本県の選手が日の丸を背負って活躍する姿だった。12年ロンドン五輪では、代表となった競輪選手の渡辺一成=小高工高卒=らの新聞記事を見返し、その背中を追いかけた。

 そして今度は、自分が夢を見せる番だと考えている。「福島の先輩たちが伝統を引き継いできてくれたおかげで、自分もそれを目標に頑張ってこられた。最後の五輪になるか分からないが福島、静岡、日本の多くの人にメダルを見せられるように頑張りたい」。五輪出場がゴールではない。夢の続きがある。(佐藤智哉)

© 福島民友新聞株式会社