農家に増収をもたらす天麻産業 中国貴州省徳江県

農家に増収をもたらす天麻産業 中国貴州省徳江県

 栽培拠点で収穫されたばかりの新鮮な天麻。(2023年11月20日撮影、貴陽=新華社配信)

 【新華社貴陽5月30日】中国貴州省徳江県は武陵山の奥地に位置し、典型的な亜熱帯季節風気候と独特の地理環境が中医薬材料の天麻(オニノヤガラ)の生育に優位性をもたらしている。

 「中国天麻の里」とも呼ばれる同県では、地元産の天麻は国家地理的表示(GI)の商標をすでに取得している。。

農家に増収をもたらす天麻産業 中国貴州省徳江県

 24日、徳江県にある工場で天麻の錠剤(トローチ)を加工する従業員。(貴陽=新華社配信)

 徳江天麻の栽培の歴史は長いが、産業として確立されてからは日が浅い。1970年代に世間で知られていた天然無公害(農薬の量が少ない)の徳江天麻は全て野生で産業的優位性があるかどうかは不透明だった。天麻栽培の技術的課題をクリアするため、同県は72年に陝西省漢中市へ人員を派遣、天麻の栽培技術を習得し活用を推進した。現在、県内21の郷鎮(街道)のうち半数以上が天麻を栽培し、中でも沙渓、長豊、高山の一帯は天麻資源が豊富で、栽培農家も多く、地元の主要な生産地となっている。

 生産量の増加に伴い、同県はここ数年、商品の高付加価値加工に力を入れ始めた。貴州洋山河生物科技の加工工場では、潘紅玲(はん・こうれい)副総経理が収穫したばかりの天麻を洗浄・乾燥後に次の工程へ送るよう従業員に指示を出している。潘氏は「より多くの天麻農家が利益を得られるように徳江天麻産業をさらに発展させたい」と語る。同社の主な事業内容は中国医薬の錠剤加工や天麻栽培、天麻酒、天麻の健康食品の研究開発と加工などで、23年の売上高は約5200万元(1元=約22円)余りに上ったという。

農家に増収をもたらす天麻産業 中国貴州省徳江県

 24日、徳江県にある工場で天麻を洗浄する従業員。(貴陽=新華社配信)

 同県には現在、43社の天麻栽培の専業合作社(協同組合)があり、年間総生産額は3億元以上、関連農家は2万世帯余り。天麻酒などの11の製品を独自開発した。(記者/汪軍)

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 24日、乾燥後の徳江天麻の半製品。(貴陽=新華社配信)

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