「京都の台所」錦市場、オーバーツーリズム対策強化 世界無形文化遺産を見据えて

大勢の観光客で混雑する錦市場。世界の市場と連携し、オーバーツーリズム対策に知恵を絞る(23日午後4時、京都市中京区)

 「京の台所」として観光客に人気の錦市場(京都市中京区)が世界各地の歴史ある市場と連携し、オーバーツーリズム(観光過剰)対策や市場文化の保全継承に取り組む。友好提携を結ぶイタリア・フィレンツェ市の「サンロレンツォ中央市場」が呼びかけたネットワークに参加し、観光客との共存に知恵を絞る。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界無形文化遺産登録も目指す。

 京都錦市場商店街振興組合が4月下旬の理事会で決めた。錦とサンロレンツォの他に、デンマーク・コペンハーゲンの「トーヴヘーラネKBH」、ドイツ・ベルリンの「マルクトハレ・ノイン」、イスラエル・エルサレムの「マハネ・イェフダ」など11市場が参加し、錦市場はアジアで唯一となる。いずれも屋根があり、食品や飲料を中心に扱う昔ながらの市場という。

 ネットワークの設立は、オーバーツーリズムの対処と伝統的な食文化の保護が狙い。観光都市の市場には大勢の旅行者が押し寄せ、混雑やごみ問題が地元住民とのあつれきを生んでいる。錦市場も訪日客の急増で混雑が常態化し、伝統の味を伝える老舗が減少して地元客離れやマナーの低下が課題となっている。

 13市場の代表者が4月上旬にフィレンツェに集い、各市場の現状と課題を報告し、サンロレンツォ中央市場の混雑対策を視察した。今後は参加市場で規約を定め、世界歴史市場協会(仮称)を発足させる予定。協会では、歴史ある市場の文化的価値と役割を国内外に発信し、世界文化遺産登録への足掛かりにする。

 同組合の初田信行理事長は「オーバーツーリズムなど共通課題の解決に連携して取り組むことに賛同した。商店と観光客、地元住民が楽しんで買い物するためのヒントを見つけたい」と話している。

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