ロシア、戦力「誇示」目的の核爆発を検討すべき=有力政治学者

Andrew Osborn

[29日 ロイター] - ロシアの有力政治学者で外交・防衛政策評議会のメンバーを務めるドミトリー・ススロフ氏はこのほど、ビジネス誌プロフィルへの寄稿で、ウクライナがロシア国内の標的へ向けて武器を使用することを西側諸国に認めさせないようにするため、ロシア政府は核戦力を世界に「誇示」するための核爆発を検討すべきとの見解を示した。

ススロフ氏の提言は過去に政府の政策として採用されたことがある。

同氏は「ロシアの意思の真剣さをはっきりさせるとともに、ロシア政府には対応段階を引き上げる用意があることを対立国に確信させるため、(戦闘のためではなく核戦力を)知らしめる核爆発を検討することに価値がある」と記した。

さらに「核爆発により発生するキノコ雲は、世界中のテレビで生放送され、これによる政治的、心理的効果は、1945年以降に大国間の戦争を防いできたが今ではほぼ失われてしまった『核戦争の恐怖』を西側の政治家に思い起こさせると期待される」と説明した。

また同氏は、ウクライナがロシア攻撃に使った武器を提供した国は、その国が世界中に設けているどの標的もロシアが攻撃する権利を留保しており、これに当該国が通常兵器で反撃してきた場合でも、核兵器を投入する可能性があると警告した。

プーチン大統領は28日、欧州の北大西洋条約機構(NATO)加盟国がウクライナに西側の武器をロシア国内の攻撃に使用することを提案して危険な行動をしていると非難し、こうした事態は世界的な紛争を招く恐れがあると警告した。

ロシア大統領府はススロフ氏の見解について、今のところコメントしていない。

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