患者の暴言、備品破壊… 新潟県病院局がペイハラ指針 長崎・弁護士の著書など参考

 患者やその家族からの暴言、暴力などの嫌がらせ(ペイシェントハラスメント=ペイハラ)を巡り、新潟県病院局が今月、ペイハラ対応に詳しい長崎市の福﨑博孝弁護士の関連著書や同市立病院機構長崎みなとメディカルセンターの対応マニュアルなどを参考にしながら、独自の対策指針を策定した。
 ペイハラは医師や看護師ら職員の尊厳を傷つけ、業務水準の低下を招く。職員の休職や離職につながる恐れがあり、事態が悪化すれば地域医療を壊しかねない危険性もはらむ。
 同県病院局によると、県立病院では以前から患者の暴言などが確認されていたが、最近は備品を投げ付けて壊したり大声でどう喝したりするなど犯罪に近いケースも起きているという。現場からは対応に戸惑う声が聞かれ、職員を守り安心して働ける職場づくりのため指針を策定した。
 指針は、「組織的に対応する」「毅然(きぜん)と対応する」「警察への相談・通報をためらわない」を対策の3本柱と位置づけた。組織的対応では、現場の担当者のみに任せず、バックアップ体制を構築し組織として判断する-などとした。また「暴言型」「セクハラ型」「威嚇・脅迫型」など九つの類型別に基本的な対応例を提示。セクハラ型には「うまく対処できるようになって一人前」などと職員の対応能力の問題にしないよう注意を促した。
 この指針を基に、県立11病院(指定管理の2病院除く)は各病院の実情に応じた対策マニュアルを9月までに作成する。
 「医療事故・ペイシェントハラスメント 紛争予防・解決の実践的手法」(日本法令)の著書がある福﨑弁護士は「3本柱はペイハラ対策の本質を突いており、この考え方が全国に広がってほしい。一方で医療者側の不手際でペイハラが起きるケースがあることも忘れないでほしい」と話す。
 指針は同県ホームページの病院局業務課のページで閲覧できる。

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