電通グループ、「世界の広告費成長率予測」改定版を発表 2024年成長率予測は5.0%へ上方修正

電通グループは、世界56市場から収集したデータに基づき取りまとめた「世界の広告費成長率予測」の改定版を発表した。本予測は、毎年2回を基本として改定しており、今回は2024年、2025年、2026年予測のアップデートとなる。以下で、主要なポイントを伝える。

2024年の世界の広告費成長率は5.0%を予測

2024年の世界の広告費成長率予測は、前回2023年12月発表の予測から0.4pt上方修正の5.0%となり、市場規模は7,544億米ドル(約117兆円※1米ドル=約155円で換算)となる見通しだ。

上方修正の主な要因は、主要市場である米国、英国、ドイツ、フランス、日本における広告費支出の見通しが改善したため。

また、対前年比では、複数の大型スポーツイベントや、多くの国で実施が予定される国政選挙などがプラス成長に貢献する見通しだ。なお広告費市場規模の、トップ12のすべての市場において、各広告費成長率は各GDP成長率と同等またはそれ以上になる見込み。

地域別では、米州が5.9%増、EMEAが4.0増、アジア%・パシフィック(日本含む)が4.2%増となり、市場規模のトップ5ヵ国は2023年と変わらず、米国、中国、日本、英国、ドイツとなる見通しだ。

2025年、2026年も堅調な成長を予測、デジタル広告が引き続き成長を牽引

2025年の世界の広告市場は、4.2%増の7,859億米ドルを予測している。また、2026年も同様に4.2%増となる堅調な成長を見込み、市場規模は8,191億米ドルになる見通しだ。なお、総広告費に占めるデジタル広告の割合は、2024年の59.6%から、2025年には60.9%、2026年には62.0%に達する見通しである。

2024年の世界の広告市場で、デジタル広告・テレビ広告は増加見込み

媒体別では、デジタル広告が全体の広告費の59.6%を占め、リテールメディアで32.0%増、ペイド・ソーシャルで13.7%増、プログラマティックで10.9%増、ペイドサーチで7.7%増と、それぞれ高い成長率を見込んでいる。

テレビ広告は2.6%の増加率を見込み、全体の広告費に占める割合は22.5%となる見込みだ。ブロードキャストにおける広告支出が減少傾向となる中、コネクテッドTVは24.2%増の成長予測となり、今後も成長が見込まれている。

減少傾向にある新聞・雑誌はマイナス2.6%の成長となる見通しで、広告費全体に占める割合も6.1%にまで低下することが予想されます。また、それ以外の媒体では、OOH(屋外/交通)、オーディオ、シネマが、それぞれ4.2%、0.4%、4.8%の成長を予測している。

2024年の日本の広告市場も成長見込み

日本は世界第3位の広告市場であり、2024年は前回2023年12月発表の予測である2.5%から、0.6pt上方修正した3.1%の成長を見込んでいる。

特にデジタル広告は8.0%の成長を予測し、広告制作や運用面でのAIの活用やコネクテッドTV利用拡大にともなう動画広告のさらなる成長、リテールメディアへの関心高まりにともなう広告販促市場の拡大がけん引している。

スポーツをはじめとした各種イベントや販促キャンペーンの大型化・活発化にともない、デジタル広告と連動したOOHやラジオの拡大も期待されている。

日本の広告市場は、今後もデジタル広告を中心に成長が継続し、2025年は2.5%の成長となる見通しだ。

【世界の広告費成長率予測の概要】
本予測は、2024年4月下旬までに、世界の56市場からデータを収集し、各市場における専門的な知見を取り入れて作成している。対象媒体は、デジタル、テレビ、新聞・雑誌、OOH(屋外/交通)、オーディオ、シネマ。広告費は、交渉によるディスカウントやエージェンシー・コミッションを差し引いた金額で、現地通貨建てで提供され、全世界および地域の数値は2024年3月の平均為替レートで米ドルに換算している。

本予測は年2回を基本としてアップデートしており、実績値と最新の予測値はすべて恒常為替レートに基づき修正している。なお、本予測の数値において、将来予測及び過去データに遡及(そきゅう)し、ロシア市場の数値を除外している。また、いくつかの地域における高インフレによる調整を過去データに遡及(そきゅう)して適用している。

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