下ネタだけじゃない! 涙腺崩壊必至『新ジャングルの王者ターちゃん』今も心に残る「泣ける神回」

放送開始25周年記念企画 『ジャングルの王者ターちゃん』Blu-ray Vol.2【想い出のアニメライブラリー 第79集】(TCエンタテインメント)

徳弘正也氏の名作『ジャングルの王者ターちゃん』は、下ネタのオンパレードで爆笑させられたものだが、その中には胸が熱くなる感動のシーンも含まれている。逆に感動シーンの合間にギャグを入れているので、笑い泣きしてしまうことも多かった。

どちらかというと長編が多くなった『新ジャングルの王者ターちゃん』のほうが、泣けるシーンが多かったように思う。そこで今回は、ターちゃんに登場する今も心に残る泣けた神回を振り返ってみよう。

■アナベベの男気とターちゃんの涙で語るシーンに泣けた「中国編」

まずは中国編のアナベベとのエピソードだ。金持ちになって闘争心が消えていたアナベベは、西派トーナメントで嫌気が差して途中離脱してしまう。しかし、ターちゃんが暗殺者のターゲットになっていることを知ると、スカウトしにきた男に「友達ってやつはな 金じゃ買えねえんだよ!!」と大激怒する。

これは心に響いた。まさに名言で、この後アナベベはターちゃんの元へ駆けつけていくからカッコよかった。もしウポポ語で怒っていたら……どんな言葉が出てきたのかちょっと興味ある。

そして、最終決戦で勝利したターちゃんの言葉。そこには試合に勝利した喜びもなく、この試合に参加したことを後悔していると語りだす。ライオンも他の動物を襲うが、それはあくまでも家族の生活のためで必要以上の殺傷はしない。しかし、人間は権利欲のために他人を巻き添えにして殺し、自分や仲間たちも含めてここに集まったすべての人たちに少しずつ責任があるという。

最後に「ちくしょう おれは頭が悪いので こ これ以上 説明できないのだ」と涙を流したターちゃん。このシーンはグッときたものだった。

■ターちゃんのピンチに亡くなった動物たちが駆け付けるシーンに号泣した「クローン編」

ターちゃんのクローンと戦うクローン編でも感動シーンが多かった。まずはターちゃんとペドロの師弟対決。もちろん実力はターちゃんが圧倒的なのだが、ペドロのパンチがかすると、ターちゃんの「ナイスパンチ」にペドロが感極まって涙を流してしまう。その一瞬の隙をついてターちゃんが勝利するのだが、ペドロは泣きながら失神していた。

このトーナメントではアイアンマスクの強さにさすがのターちゃんも苦戦することがあった。だが、ターちゃんのピンチのときにアイアンマスクが何かに吹き飛ばされる。

これはターちゃんに命を救われて天寿を全うした動物たちが、ターちゃんを守るために天国から駆け付けたという。一般人には見えないみたいだとアナベベは解説していた。ハンターから襲われた動物たちをいつも命がけで守ってきたのはターちゃん。だからこそ、彼らは死してもなおターちゃんを守っていたのだ。

これには泣けた……涙腺崩壊しそうになったのだが、その一方でアナベベ以外にも見えていたエテ吉とライオンが、ガタガタ震えながら数珠を手に成仏してくれと念仏を唱えていたから笑ってしまう。

■私設レンジャー隊を創設していたヂェーンの気づかいに感動

バトルシーン以外で感動したのはヂェーンのエピソードだった。ジャングルの平和を守るターちゃんは家事にも忙しい。そんな彼は、ヂェーンがジャケットに着替えて朝早くにお金を持って出かけて行くのが気になっていた。

まあ、稼ぎはターちゃんのガイド料やトーナメントの賞金だろうし、一人で町に出て好き勝手買い物しているようならイライラもするのだろう。しかし、実はそうではない。

ヂェーンは私設レンジャーを創設しており、その陰のオーナーとなっていたのだ。アフリカ大陸は広大なので、ジャングルの平和はターちゃん一人で守れるものではない。そこで、ヂェーンはレンジャー隊を創設して必要経費を自ら分配していた。両手でお金を直接手渡しながら「少ないけど これでがんばってね」と一人一人の隊員に声をかけている。

自身は8年前に買ったジャケットを着ているのでつぎはぎだらけでみすぼらしい格好なのだが、自分にお金をかけずに相手を労う姿勢には隊員たちのモチベーションも上がるものだ。

これには筆者も驚くと同時に、普段のヂェーンの守銭奴的な価値観は、ターちゃんや動物たちのためだったのだと感動した。

その後、ターちゃんは豪邸に住んでいるアナベベ宅のシルクのカーテンを切り抜いて、ヂェーンのためにジャケットを作っていた。ターちゃんの優しさにもグッときたものである。

『新ジャングルの王者ターちゃん』には感動するシーンが多く詰まっている。筆者も若い頃に読んで感動していたものだが、年齢を重ねて改めて読むと涙腺が崩壊しそうになってしまう。そこにしっかり下ネタやギャグを挟んで笑わしてもくれるので、まさに「最高の漫画」といえる作品だ。

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