BTSの事務所HYBE、対立する“NewJeansの母親”をクビにできない…裁判所が決定、「不便な同居」続く

「ミン・ヒジンの行為がHYBEに対する裏切りのような行為になりうるが、ADORに対する背任行為になるとは言い難い」

裁判所がNewJeansの所属事務所でHYBE傘下レーベル、ADORのミン・ヒジン代表を支持したことで、ミン・ヒジン代表とHYBEの“不便な同居”が当分続く見通しだ。

ソウル中央地裁・民事合議50部(キム・サンフン裁判長)は5月30日、ADORミン・ヒジン代表がHYBEを相手に提起した議決権行使禁止仮処分訴訟で、「現在まで提出された主張と資料だけでは、HYBEが主張する(ミン・ヒジン代表の)解任事由や辞任事由が十分に疎明されていないと判断する」として、ミン・ヒジン代表の仮処分申請を認める決定を下した。

ミン・ヒジンを解任できなくなったHYBE

ミン・ヒジン代表が出した仮処分申請は、臨時株主総会で「ADORの持分80%を保有するHYBEが、ミン・ヒジン代表解任案に議決権を行使できないようにしてほしい」という内容が盛り込まれた。

ADORミン・ヒジン代表

去る5月17日にソウル中央地裁で審問期日が開かれ、両者は激しい攻防を続けた。

ミン・ヒジン代表は、株主間契約上に明示された「5年の任期保障」を根拠に、HYBEの議決権行使に反対した。また、5月24日にカムバックするADOR所属のNewJeansと企業価値を守るためにも、職務を続けなければならないという趣旨だ。さらにHYBEが提起したミン・ヒジン代表の業務上背任容疑も、実際に着手していないため成立しないと主張した。

一方でHYBEは、ミン・ヒジン代表とADOR経営陣に対する監査資料を法廷で公開し、ミン・ヒジン代表がNewJeansメンバーをガスライティング(心理的虐待の一種)し、「巫俗(ふぞく、シャーマニズム)経営」を持続するなど、ミン・ヒジン代表解任の正当性を主張。HYBEは4月22日に「経営権奪取の試み」を名分にADOR経営陣に対する監査に着手し、ミン・ヒジン代表などを業務上背任容疑で告発している。

だが裁判所がミン・ヒジン代表の仮処分申請の引用を決定したことで、HYBEの計画に支障をきたすことになった。

(写真提供=HYBE)

裁判所の決定によって、HYBEは5月31日に予定されたADOR臨時株主総会で、ミン・ヒジン代表解任案に議決権を行使することができない。ADORの持分はHYBEが80%、ミン・ヒジン代表が18%、職員が2%で、ミン・ヒジン代表はADORの代表理事職を継続する可能性が高い。

もちろん、HYBEがこれを素直に受け入れる可能性も低い。直ちにミン・ヒジン代表を解任できないとしても、すでに激しい世論戦まで繰り広げた状況であるだけに、関係回復は難しそうな見通しだ。したがって、不服として抗告審を開いたり、新しい証拠をもとに臨時株主総会を再び招集したりする可能性もある。

また、ミン・ヒジン代表を除いたADOR役員の交替が予想されるだけに、ミン・ヒジン代表が今の立場のままだとしても、以前のような影響力を発揮できるかは未知数だ。

先立って、新しいADORの経営陣として、HYBE社内役員のキム・ジュヨンCHRO(最高人事責任者)、イ・ジェサンCSO(最高戦略責任者)、イ・ギョンジュンCFO(最高財務責任者)などの名前が挙げられたことがある。

ADOR所属のガールズグループ、NewJeansの今後にも多くの関心が集まっている。

(写真提供=OSEN)NewJeans

NewJeansの法定代理人である両親たちは、今回の議決権行使禁止仮処分申請と関連して「ミン・ヒジン代表が解任されてはならない」という趣旨の嘆願書を提出したと知られる。普段からミン・ヒジン代表との強い絆を示してきたNewJeansは、今回もHYBEではなく、ミン・ヒジン代表側についたと見られる。

仮処分の結論が出た後も、双方の損害賠償請求など法的な紛争が続く可能性もある。

HYBEは去る4月25日、ソウル龍山(ヨンサン)警察署にミン・ヒジン代表らに対して業務上背任の容疑で告発状を提出し、これに対する捜査が進行中だ。警察は最近、HYBE側の関係者を呼んで告発人の調査を終えた。

© 株式会社ピッチコミュニケーションズ