鳥取県がライドシェア試行へ 10月、延べ40万人来場のねんりんピック期間中

平井伸治知事

  鳥取県が一般ドライバーが自家用車を使って有料で客を送迎する「日本版ライドシェア」を、10月に県内で開催する60歳以上によるスポーツと文化の祭典「ねんりんピック(全国健康福祉祭)」の期間中に導入する。県内外から延べ40万人が来場する見込みで、夜の懇親会や市町村をまたぐ広域的な観光の移動手段を補う。国土交通省の許可が必要で、事業者らと調整し、8月までに申請する。

 実現すれば山陰両県内で初めてとなる。期間は大会前日の18日から最終日の22日までの5日間を想定する。ねんりんピックは県内19市町村でテニスや将棋といった29種目の大会を開催。大会初日には鳥取市内である開会式に県内外の選手や関係者ら約1万人が集まり、翌日から各会場で競技が始まる。

 7~8月にドライバーの募集と研修、9月に配車アプリの導入と試行を実施予定。保険やドライブレコーダー整備などの経費480万円を、6月12日開会予定の定例県議会に提出する2024年度一般会計補正予算案に盛り込む。

 タクシー事業者が区域や時間帯、台数などを国交省に申請し、許可が必要。県は既存のタクシーや市町村のコミュニティーバスなどの交通手段が確保できない地域や時間帯の利用を想定している。今後、事業者や市町村と協議し、具体的な申請内容を検討する。

 30日の定例会見で明らかにした平井伸治知事は「鳥取県の公共交通の深刻化を緩和する手だてになるかもしれない」と期待。大会以降の活用も「視野に入ってくる」と述べた。

 日本版ライドシェアはタクシー事業者が一般ドライバーを雇用し、乗客はアプリで配車する仕組み。国交省が4月に解禁し、東京都や広島県など12都道府県の一部地域で許可した。

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