セルティックス指揮官がポルジンギスのファイナル初戦出場の可能性について言及「着々と良くなっているよ」<DUNKSHOOT>

5月27日(日本時間28日、日付は以下同)のイースタン・カンファレンス決勝第4戦、ボストン・セルティックスはインディアナ・ペイサーズを105-102で下し、無傷の4連勝でシリーズに決着をつけた。

スウィープという結果ではあったものの、ペイサーズは21日の初戦、第4クォーター残り8.5秒時点で3点をリードしていた(その後、オーバータイムの末に敗戦)。最後の2試合はオールスターガードのタイリース・ハリバートンを左ハムストリング負傷のため欠きながらも、25日の第3戦では残り2分30秒で8点リード、第4戦も残り8分半時点で9点をリードと、勝機は十分にあったシリーズだった。

それでもセルティックスは2枚看板の“Jay’s”を中心に勝負強さを発揮。ジェイソン・テイタムがシリーズ平均30.3点、10.3リバウンド、6.3アシストをあげれば、カンファレンス・ファイナルMVPに選出されたジェイレン・ブラウンが同29.8点、5.0リバウンド、3.0アシスト、2.00スティールと牽引役を務めた。

さらに第3戦終盤に攻守両面でクラッチプレーを決めたドリュー・ホリデーが平均18.5点、7.0リバウンド、5.8アシスト、1.50スティール、第4戦で決勝弾を沈めたデリック・ホワイトが16.8点、4.8リバウンド、6.5アシスト、2.00スティール、2.25ブロック、第3戦で自己最多7本の3ポイントを決めたアル・ホーフォードが12.8点、7.3リバウンド、1.75ブロックと、強力な先発陣が揃って躍動した。
6月6日からホームのTDガーデンで幕を開けるNBAファイナルまで、1週間以上のインターバルがあるセルティックスにとって、気になるのはクリスタプス・ポルジンギスの状況だろう。

マイアミ・ヒートとのファーストラウンド第4戦で右ふくらはぎの肉離れに見舞われた218cmのビッグマンは、翌第5戦からカンファレンス・ファイナル最終戦まで10試合連続で欠場。ペイサーズとのシリーズ中に復帰する見込みもあったが、結局コートへ戻ることはなかった。

ただ、29日に地元メディア『98.5 The Sports Hub show』に出演したジョー・マズーラHC(ヘッドコーチ)は、ファイナル初戦でポルジンギスが出場するか問われると、「どうかな。まだわからない」と口にしながらも、ポジティブな進捗状況を語っている。

「彼がコート上で(復帰に向けて)強化しているのは知っている。彼は本当に、ハードに練習へ取り組んでいる。チームとは何度かシュートアラウンドをしているくらいで、まだ何もできていないが、強度を上げて1対1をこなしている。着々と良くなっているよ」 レギュラーシーズンでチーム3位の平均20.1点に同2位の7.2リバウンド、チーム最多の1.95ブロックを残した元オールスターは、プレーオフ4試合で平均12.3点、5.0リバウンド、1.50ブロックを記録。フィールドゴール(FG)成功率こそ38.9%と低調だったものの、3ポイント成功率40.0%(8/20)、フリースロー成功率92.9%(13/14)と持ち前のシュート力を発揮していた。

最後に出場した4月29日から丸1か月が経過しているため、試合勘を取り戻す必要はあるものの、最終決戦では主力の一角として活躍が期待される。

今季のセルティックスはオフェンシブ・レーティングでNBA歴代最高値の122.2を誇り、プレーオフでも119.6と、ペイサーズ(120.0)に次ぐリーグ2位の高水準をキープ。2メンゲームのフィニッシャー役やポストプレー、ディープスリーなど得点バリエーションが豊富で、プレーメーキングもこなせるポルジンギスが復帰すれば、さらなる攻撃力アップは間違いない。
ファイナルで対戦するのはウエスタン・カンファレンスの頂点を争うダラス・マーベリックスとミネソタ・ティンバーウルブズの勝者。ここまでマブズが3勝1敗と王手をかけているが、セルティックスは今季、マブズに2戦全勝、ウルブズとは1勝1敗でいずれも延長までもつれている。

ポルジンギスは古巣マブズ相手に1試合プレーして24得点(FG8/14、3ポイント4/8)、6リバウンド。ウルブズとも1試合戦って20得点(FG5/14、3ポイント2/6)、5リバウンドをマークしている。

現状の戦力でも悠々とイーストを勝ち抜けたセルティックス。しかし、テイタム、ブラウン、ホリデー、ホワイト、ホーフォードの超強力な5人にポルジンギスが加わって初めて、彼らは完全体のチームとなる。この男が初戦からコートに立てるかは、覇権奪回を目指す上で大きなカギになりそうだ。

文●秋山裕之(フリーライター)

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