「CoD」×「ガンダム」の異色のコラボが実現した理由――新マップ・東京も登場するシーズン4について開発陣にインタビュー

本日5月30日よりスタートした「Call of Duty: Modern Warfare III」「Call of Duty: Warzone」「Call of Duty: Warzone Mobile」のシーズン4。そこで実施される「ガンダム」シリーズとのコラボおよび新マップ「東京」に関するインタビューをお届けする。

全世界で絶大な人気を誇る、Activision Publishingの人気FPS「Call of Duty」(以下、COD)シリーズ。現行運営される3タイトルのシーズン4では、“東京”をテーマにした新マップに加えて、「機動戦士ガンダム」のガンダムとシャア専用ザクII、「機動戦士ガンダム 水星の魔女」のガンダム・エアリアルがオペレータースキンとして登場する、「ガンダム」シリーズのコラボイベントが開催される。

今回実施されたインタビューでは、開発を担当するSledgehammer GamesのレベルデザイナーのBradley Dorn氏、リード・エンバイロメントアーティストのMatthew Bein氏、コンテンツアートディレクターのJon Riva氏の3人に、「ガンダム」コラボや東京マップについてのお話を伺うことができた。

■「CoD」開発陣には「ガンダム」シリーズファンが多かった!?

――今回「ガンダム」シリーズとのコラボが実現したきっかけについて教えてください。

Jon氏:実は、開発チームに「ガンダム」のファンが多かったんです。やはり作っている側のアーティストも人間ですし、素晴らしい作品にはいつも興味を持っているので、自然と「こんな作品とコラボできたらいいよね」という会話がありました。

そこから本当にできるんじゃないかという話になって、「ガンダム」を「CoD」の中にどうやって落とし込むか考えるようになり、最終的にうまくマッチさせることができました。いろいろ結果オーライになったところもありつつ、ようやくお披露目できるのをとてもワクワクしています。

――今回のコラボについて、こだわったポイントを教えてください。

Jon氏:今回のコラボに愛と熱意を持ち、本気で取り組んでいることをファンに伝えたいと思っています。

「ガンダム」をできるだけ忠実に「CoD」の世界に落とし込めた手応えはあり、巨大なガンダム像こそ登場しませんが、あのスピード感のある戦闘を、すごくうまく落とし込めたと思っています。今までの「CoD」とは少し違いますが、「ガンダム」と「CoD」ファンの両方に喜んでいただけるコラボになっていると思います。

――今回登場するコラボスキンについてのお話もお聞かせください。

Jon氏:スタジオ内部にもガンダムのファンは多くて、開発中にいきなり会話に参加してきて「お前もか」みたいな驚きがあったくらいでした(笑)。

あれは本当にちょっと奇跡が起きたというか、「ガンダム」っぽいけどまだ「CoD」の世界観を保っているという見事なバランスにできたのもあり、すごく自信をもっています。武器も大きな特徴で、そこも「ガンダム」らしさを追求できたと思っています。

――「ガンダム」「シャア専用ザクII」「ガンダム・エアリアル」の3機を選んだ理由と、スキンに落とし込む上での苦労したポイントがありましたら教えてください。

Jon氏:やはり難しかったところは、モビルスーツを普通のサイズの人間に落とし込みつつ、その上で本物の「ガンダム」っぽさを出すという部分です。

この3機を選んだのは、やはりそれぞれの人気の高さもありますが、「ガンダム」側との話し合いで上がっていた候補の中からバラエティに富んでいて、なおかつ今回のコラボのビジョンに沿った3機を選んだつもりです。

最終的にパッケージとしてうまく繋がっていないといけないので、ビームライフルなどの武器のバリエーションも加味しつつ、「ガンダム」側といろいろな話し合いを重ねて、今回のコラボが完璧なパッケージになるように頑張りました。

その話し合いが終わった後、コンセプトアートから3Dに起こすのは結構スムーズにいったので、最初の話し合いでテーマをかっちりと決められたのが良かったんだと思います。

――「ガンダム」コラボの発表はすごいサプライズでしたが、日本や北米のプレイヤー層の反響というのはいかがでしょうか。

Jon氏:ファンはやはり、全体的にポジティブに受け止めてくれていると思います。「CoD」シリーズのファンってすごく多様性に富んでいるというか、もう本当にいろんな背景を持っているので、我々としては「この作品は『CoD』に入れるべきではない」とか、その手の議論が起こるのは好ましくないと考えています。

そのため、どのコラボでもしっかりと時間をかけて、そのIPをしっかりと尊重した上で「CoD」らしさを出すということに力を入れています。その成果か、どんなコラボであれ、発表すると大体ポジティブな反応を示してくれていて、今回についてもそれは同じでした。

――コラボに登場するオペレーターのスキンを、キャラクターではなくモビルスーツにした理由を教えてください。

Jon氏:それについては、コラボ先の「ガンダム」側とも話をして決めた部分です。

「CoD」には既に色々なコンテンツが入っています。その上でファンにとって本当にインパクトがあり、誰もが一目で分かるようなものと言えば、やはりパイロットよりモビルスーツの方を思い浮かべました。

決してパイロットをやりたくなかったわけではなく、最終的には素晴らしいものが出来上がったならどちらでも良かったと思うのですが、やはりモビルスーツの方がぱっと見で「ガンダム」だと分かりやすいだろうというのが我々の考えでした。そのコンセプトを相手側にも受け入れてもらえたので、すごく話し合いもスムーズに進み、一番いい方向に持っていけたのではないかと思っています。

――前回の「ゴジラ×コング」であったり、今回の「ガンダム」や東京であったりと、日本に関係したコンテンツの実装が続いているように感じているのですが、これは偶然なのでしょうか。

Jon氏:結果的には偶然かもしれませんが、やはり我々のクリエイティブのチームは多様性に富んでいて、それは「CoD」のファンも同じですので、アート側でも多様性を示す必要があります。

その上で世界の中からいろんなものを取り込もうとした時、日本は素晴らしい作品や文化を持っている魅力があり、素晴らしいアーティストやファンも多いです。我々のチームにも日系や日本人がいますし、全世界のファンを満足させるために世界からいろんなものを引っ張って来ようとした結果、偶然日本が多めになったのかもしれません。

――「ガンダム」をテーマにしたゲーム内イベントも実施されるとのことですが、現時点でお話しいただけることはありますか?

Jon氏:ここではあまり詳細を言えないので、コラボを実装した時のお楽しみとさせてください。

一つ言えるのは、「CoD」のファンでガンダムを知らない人には「これはなんだろう」みたいな新しい発見をしてもらいつつ、元々の「ガンダム」ファンにもすごく楽しんでいただけるようなイベントを作りました。

スキンを含めた全部が一体になったイベントになっています。我々は皆とてもワクワクしていて、本当に「ガンダム」の世界観を大事にして作ったということが伝わるようなイベントになっていると思います。

■「東京」を作ると聞いた時、アーティストチームの全員が湧いた

――今回実装される「東京」マップは、どのような経緯で開発に至ったのでしょうか。

Bradley氏:まず、我々はすごく東京が好きなんです。日本をベースにしたマップを作ることになった時に、より東京に惹かれました。すごく密度の高い都会の中に、日本特有の観光名所のような場所がたくさんあるところがとくに好きです。その分デザインはかなりシンプルにして、マップ内の場所や各ロケーションをコールアウトしやすくなるように気をつけました。

Matthew氏:最初にBradleyが「東京を作りたい」と言った時、アートチームの全員が湧きました。今まで「MW3」でやってきた全てのマップと違うマップで、さらに夜間マップなので、ネオンを使った都会らしさとか、アート的にも違う感じが出せた手応えを感じています。すごくキャラクター性が強いというか、濃い味を出しているマップですが、あくまでも大都会の一部だという雰囲気を醸し出すためのムード作りには苦労しました。

――現実の東京のいろんな都市のモチーフが混ざり合ってるように感じました。どのようなコンセプトでマップを開発されたのでしょうか。

Bradley氏:まずマップをデザインする時、東京が世界的なカルチャーにおけるホットスポットだという認識を持っていました。特に影響を受けたのは渋谷や新宿で、マップ全体の雰囲気作りにおいて重要なエリアになっています。本当に自分が日本にいて、日本の道を歩いているような感覚を落とし込めるかがとても重要でした。

Matthew氏:美術的な視点からは、やっぱり東京というのは既に世界中から愛されていて、グローバル的な魅力もたくさんあるので、すごく視覚的にもワクワクする絵を作れる都市だと思っています。

今回は東京の特定の地区を再現したとかではなく、3~4人くらいいるマップの担当者に、それぞれ東京の好きなところをピックアップして持ち込んでもらいました。一番大事だったのはその東京らしい空気感を再現するところで、どこかを再現しているわけではないけれど、全体を見ると東京らしさが感じられることを意識して開発しました。

――新マップについて、バトルの戦術面などのコンセプトがあれば教えてください。

Bradley氏:マップとしては、戦術の多様性を重視しました。マップを俯瞰で見ると大きく二手に分かれていますが、これはいろいろな遊び方をサポートしたいと考えたからです。メインストリート側のルートには建物が2つあり、その2つの建物はスナイパーが陣取りやすいものになっています。

もう一つのルートは密集地帯と言いますか、近接戦が発生しやすい地形になっています。それぞれのルートが重なり合う部分もあるので、様々なスタイルのプレイヤーが活躍できるようになっています。

――東京を夜間のマップにした理由を教えてください。

Matthew氏:まず、最初に今まで夜間マップをあまり作っていなかったという理由がありました。ロケーションを決める時、視覚を確保するためにどうしても日中にする必要がある場合が多いんです。

東京の場合はネオンサインや電光掲示板が多くて明るいので、夜でも迷子にならず、敵がちゃんと見えるんです。これはすごくいいチャンスをもらったと思い、夜間マップにすることを決めました。日本を夜間マップにしたことで、マッププールの中にユニークなものを入れることもでき、ファンにとって新しい枠を提供できたのではないかと思っています。

――最後に、シーズン4を楽しみにしている日本のファンへのメッセージをお願いします。

Jon氏:「CoD」の世界に「ガンダム」が侵略してくることにとてもワクワクしています。本当に大事に作りましたし、開発チームもすごく興奮しているので、今回のコラボがプレイヤーの皆さんにとっての嬉しい発見になることを願っています。

Matthew氏:東京のマップを作るのは本当に楽しくてワクワクしました。開発チームにとっても、東京はすごくユニークなマップになりましたし、アーティストの全員が今までの「MW3」のいずれとも違うマップを作れたことに興奮しています。日本文化のファンが大勢いる中で、我々がこのマップを作れたことを嬉しく思います。

Bradley氏:個人的にも日本はすごく気になるところがたくさんあって、今回その日本を題材にしたマップを作ることができ、金山を掘り当てたみたいな嬉しさがありました。開発チームが時間も努力も惜しまずに作ったマップで、本当に日本の道を歩いているかのような感覚を味わえるかと思います。是非楽しんでください。

――ありがとうございました。

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