三菱重工、水素専焼エンジン発電セット実証設備および水素供給設備が完成

MHIETは、三菱重工グループの2040年のネットゼロ達成を掲げた「MISSION NET ZERO」を実現する製品開発の1つである、水素エンジンの製品化に取り組んでいる。

これまでにMHIETは、レシプロガスエンジン「GS6R2~GS16R2」シリーズを改良した単気筒エンジン(ピストン径170mm × ストローク220mm)を、国立研究開発法人 産業技術総合研究所(産総研)福島再生可能エネルギー研究所(福島県郡山市)に設置し、水素100%で安定燃焼できる技術を確立している。

製品化に向けた次の段階として、新たに開発した6気筒の500kWクラス水素専焼エンジンを搭載した発電セットの実証設備と、水素トレーラーで搬入する高圧水素ガスを減圧して発電セットに供給する水素供給設備が完成し、健全性確認のための試験運転を開始した。都市ガスを用いた確認運転から開始し、今年度中に水素専焼の100%負荷運転における安定燃焼の確認を目指すという。

一連の実証試験では、新たに設計した水素100%を燃料とする6気筒水素専焼エンジンの燃焼安定性、性能、信頼性などの検証に加え、水素の特徴を考慮し、発電セットとして求められる安全性評価や性能検証を実施する。なお、本実証試験では、再生可能エネルギー由来の電力を利用し、製造過程においてCO2を排出しないグリーン水素を燃料として使用することも計画している。

MHIETは、水素専焼エンジンの開発から設計、製作、実証に至るまでの開発サイクルを自社工場内で一貫して構築したことで、実証試験で得た結果を迅速に製品化に向けたプロセスに反映できる。一連の実証試験を通じて、2026年度以降の製品化に向けたプロセスを加速していくという。

レシプロエンジンは、低・脱炭素社会の実現に向けた燃料転換(エナジートランジション)においても、その機構上、さまざまな燃料を燃焼させることができ、中でも水素専焼エンジンを用いた発電セットは、純水素を燃料とすることで、燃料消費によるCO2を排出することなく、分散型電源の脱炭素化に貢献できる。MHIETは実証試験を通じて、水素利用拡大による脱炭素社会実現を目指すとしている。

▶︎三菱重工

© 株式会社プロニュース