七尾の呉服店が高岡で再起 重伝建・山町筋に8月、支店開設 地震で蔵、住居が被災

プレイベントに向け準備を進める春木さん(右)と未央子さん=高岡市の山町ヴァレー

 七尾市桧物町の「和日遊日(わびあそび)はるなお(春直(はるなお)呉服店)」が8月上旬、高岡市の重伝建(重要伝統的建造物群保存地区)山町筋に支店を開設する。能登半島地震では蔵や住居が中規模半壊の判定を受け、営業は再開したものの苦しい経営が続き、伝統的な街並みが残る高岡で再起を図る。

 呉服店は江戸末期から続き、1943(昭和18)年に現在の店になった。今回の地震では耐震補強をしていた店舗に大きな被害はなかったが、着物や生地を保管していた土蔵では壁に大きなひびが入り、タンスも倒れた。

 駐車場も地盤沈下で使えず、水道も使用できない期間が続いた。応急的に修繕し、3月中旬には営業を再開したが、売り上げは伸び悩んでいるという。

 春木直樹代表(53)は七尾市外に支店を設けることで再起を図ることにし、以前から訪れることが多かった高岡市で物件を探し、複合型商業施設「山町ヴァレー」に支店を出すことにした。

 店舗は山町ヴァレーの一角に設け、オリジナルの着物や小物を販売する。茶道や着付けの教室も開く。春木代表は「着物の魅力を伝えると同時に、高岡と七尾の交流が活発になるようにしたい」と意気込んだ。高岡の古風な町並みに魅力を感じたという未央子さん(47)は「高岡の人たちに温かく声を掛けてもらった。自分も高岡を盛り上げたい」と述べた。

  ●31日からイベント

 31日~6月3日にはオープンに向けたプレイベントが山町ヴァレーで始まる。初心者には難しい着物のコーディネートについて助言を受けることができる。

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