花に託した思いに浸る 総合花展金沢展、28日最終日

秀作を隅々まで鑑賞する来場者=金沢市の香林坊大和8階ホール

  ●初夏の彩り満ちた秀作 香林坊大和8階

 金沢市の香林坊大和8階ホールで開催中の石川県いけ花文化協会創立30年記念・第27回総合花展金沢展(同協会、北國新聞社主催)は後期展2日目の27日、初夏の彩りに満ちた秀作を鑑賞しようと、多くの愛好家が足を運んだ。来場者は作品の細部までのぞき込み、華道家が花に託した思いに浸った。

 後期展には協会の参与や専務理事の特別大作と、常務理事から会員までの大作、中作、普通作、児童生徒の小作の127点が並んだ。

 金沢市の華道家はキリの古木を岩に見立て、こけむすようにケイトウを生け、マンサクの緑を添えた。「大きな傷を負った能登の自然が元の姿に戻るように」と、白い八重のユリに明るい希望を込め、被災地のたくましさを表現した。

 金沢市の別の華道家は、地震に見舞われながら田作りに励む人々に心を寄せ、アワモリソウを生けて実りを祈った。ギボウシやアイビーなど葉物の緑の濃淡で夏の爽やかさを漂わせた。

 金沢市の主婦村北篤子さん(65)は「能登半島地震で気持ちが落ち込んでいたが、季節の花を見て活力が湧いてきた」と語った。

 子どもたちの伸びやかな感性が光る作品も来場者の注目を集め、同市の主婦吉村充子さん(80)は「小学生があんなに上手に生けるとは素晴らしい。来年も見たい」と感心しきりだった。

 後期展の会期は28日まで。入場料は600円(高校生以下無料)となる。

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