デブリ、8月にも試験取り出し 東電第1原発2号機 廃炉の最難関

 東京電力福島第1原発2号機の溶け落ちた核燃料(デブリ)の試験的取り出しを巡り、東電は30日、準備が順調に進めば8月にも伸縮式のパイプ型機器を使用した取り出し作業に着手できるとの見通しを示した。これまで示していた10月までに着手するとの方針は変更せず、できるだけ早期の取り出し開始に向けて準備を進める方針だ。 

 東電によると、機器を挿入する原子炉格納容器側面の貫通部をふさいでいた堆積物の除去が完了したことや、取り出しに使う機器の試験が順調に進んでいること、原子力規制委員会から機器の使用計画の認可が得られたことなどから8~10月に着手できる見通しとなった。

 今後は、6月にも機器と格納容器を密着させる接続管などの取り付け作業を行い、7月には採取したデブリの重量や放射線を測定するための箱の設置を進め、取り出しに向けた準備を進める。また、31日にも規制委に取り出し機器の性能を確認する使用前検査を申請する。検査は機器の試験を行っている神戸市で行った後、第1原発構内でも再度実施する予定。取り出し準備と使用前検査が完了すれば取り出しに向けた環境が整うことになる。

 30日に記者会見した東電福島第1廃炉推進カンパニーの小野明最高責任者は「さらに作業が進めば(着手時期の)精度が上がる。問題が起きたら立ち止まる。工程ありきではない」と述べた。

 デブリの取り出しは廃炉の最難関とされ、試験的取り出しが試金石となる。東電は当初、2021年の着手を予定していた。新型コロナウイルスの影響で英国からロボットアームの到着が遅れたほか、機器の改良にも時間を要するなどし、計3回の延期を余儀なくされた。また最初の試験的取り出しでは、当初計画していた遠隔操作機器「ロボットアーム」による取り出しから、過去の調査で実績がある伸縮式のパイプ型の機器を使用する方針を示していた。

© 福島民友新聞株式会社