米国下院司法委員会、アンドレッティの参戦を拒否したF1の調査を開始。その影響でコンコルド協定の議論に遅れが生じる

 コンコルド協定として広く知られているF1、F1チーム、FIA間の新しい商業協定の交渉が大幅に遅れている。アンドレッティ・グローバルのF1世界選手権への参戦をフォーミュラワン・マネジメント(FOM)が却下したことについて、アメリカ議会が全面的な調査を開始することを決定したためだ。

 5月初旬、下院司法委員会の委員長であるジム・ジョーダン下院議員は、調査を開始することを発表し、次のように主張した。

「アンドレッティ・キャデラックのF1参入を1年でも遅らせることは、アメリカの消費者に害を及ぼし、F1チームの不手際に利益をもたらすことになってしまう」

「F1のチーム数を制限することは、スポンサー料や既存F1チームの買収価格を上昇させることになる。委員会がこの問題を検討し、スポーツリーグの構造と競争に関する法律の可能性を検討するなかで、我々はアンドレッティ・キャデラックのF1参加申請を却下する決定について、スタッフレベルの説明会を要請する書簡を送付する」

2024年F1マイアミGP マリオ・アンドレッティとマイケル・アンドレッティ

 ジョーダンはまた、5月末までに多くの書類を入手できるように要求したが、F1が彼の要請に従ったかどうかは現時点では不明だ。F1オーナーのリバティ・メディアはこれとは無関係な件についても調査を受けていることを考慮すると、CEOのグレッグ・マッフェイが慎重なルートをたどっている可能性は高い。特にマッフェイにいたっては、「君をF1には絶対に入れない」とマリオ・アンドレッティを脅した疑惑が明るみに出てしまったのだ。

 下院司法委員会が、リバティ・メディアとF1、およびその経営陣が反カルテル法に違反していると判断した場合、彼らに深刻な結果がもたらされる可能性があることに気づいた各チームは、迅速な協定締結に関心を失い、現在は議論のペースを落としている。リバティ・メディアとF1にとって事態が悪化すると、両社は経営陣の交代を余儀なくされる可能性がある。そのため各チームは、新しいコンコルド協定は退任するかもしれないふたりのCEOではなく、今後やってくる人々と締結したいと考えている。

 もちろん新コンコルド協定調印に期限はあるが、各チームとFIAにとっては、現在の調査がリバティ・メディアのイメージを傷つけた場合により強い交渉の立場に立てるかどうかを見極めるために、スケジュールを来年半ばに向けてさらに遅らせることが最善の利益となる。

2024年F1第8戦モナコGP リバティ・メディアのCEOグレッグ・マッフェイとF1 CEOステファノ・ドメニカリ

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