貧打解消の起爆剤…巨人新助っ人は電車通勤 驚嘆の日本文化「他の国ではありえない」

3ランを放ちヒーローに輝いた巨人のエリエ・ヘルナンデス【写真:中戸川知世】

7試合連続2得点以下の打線が一変…1イニング6得点で大逆転

■巨人 6ー5 ソフトバンク(30日・東京ドーム)

貧打解消の起爆剤になるかもしれない。巨人は30日のソフトバンク戦(東京ドーム)に6-5で逆転勝ち。28日に1軍昇格を果たしたばかりの新外国人エリエ・ヘルナンデス外野手が「2番・右翼」でスタメン出場し、来日初本塁打の3ランを放った。

0-5とリードされて迎えた3回。丸佳浩外野手の右前適時打で1点を返し、なおも1死一、二塁で、ヘルナンデスがフルカウントからソフトバンク先発・東浜巨投手のシンカーをとらえ左翼席中段に運んだ。新助っ人は「シンカー1本に絞って振り抜きました」とクレバーな面をうかがわせた。

巨人はさらに4番・岡本和真内野手が逆転10号2ランで続き、この回一挙6得点で逆転。前日29日まで7試合連続2得点以下だった打線が目を覚ました。阿部慎之助監督は、ヘルナンデスの一発を「あれで流れがこっちに来た。行けるのではないかという雰囲気をつくってくれた」と称えた。

3試合に出場し、打率.273(11打数3安打)、1本塁打3打点(30日現在、以下同)。日本の投手が多投する落ちる軌道の変化球にバットがくるくる回るタイプだと、順応は難しいが、ヘルナンデスは「自分の持ち味はコンタクト」と話す通り、ストライクからボールになる球をよく見極めている。

二岡智宏ヘッド兼打撃チーフコーチも「コンパクトに振っていて、低めの変化球に手を出さず、我慢できている印象があります」とうなずく。長距離砲タイプではなくてもフェンスを越すパワーも十分ある。

愛称が浸透中…打席に入る度に沸き起きる「エリ」コール

ドミニカ共和国出身の29歳は今季、レンジャーズ傘下3Aでプレーしていたが、5月に入って巨人と契約を結んだ。メジャーでの通算成績は14試合、打率.182(33打数6安打)、0本塁打3打点も、その分ハングリー精神がうかがえる。吉村禎章球団編成本部長兼国際部長は「日本に来て観客がいっぱいいるところでプレーしていることに、本人はすごく興奮していますよ」と明かす。

ファーストネームにちなんだ愛称「エリ」が巨人ファンに浸透中で、打席に入るたびにコールが沸き起こる。東京ドームには電車通勤しており、「日本の人々はホームに規律正しく並び、降りる客がいなくなるのを待ってから乗る。他の国ではありえないよ」と苦笑する。

巨人は今季、メジャー通算178本塁打を誇る大物新外国人ルーグネット・オドーア外野手が、自身の意向で開幕直前に電撃退団する事態に見舞われた。代わりに遅れてやって来たハングリーな新助っ人が、得点力不足に悩む巨人打線を救うか。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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