存在に気付かない人も? 歴代『FF』シリーズ「入手に苦労した召喚獣」を振り返る

スクウェア・エニックスのフィギュア『FINAL FANTASY マスタークリチャーズ Vol.2 ナイツ・オブ・ラウンド』(C) SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.

1987年にスクウェア(現スクウェア・エニックス)よりファミリーコンピュータ用ソフトとして第1作が発売され、現在まで人気が続くRPG『ファイナルファンタジー』シリーズ。

キャラの能力が変えられるジョブシステムや、戦闘時に選択肢を選んでいる最中も時間が流れるアクティブタイムバトル、キャラの成長が細かく選べるスフィア盤など、様々なシステムが導入され、シリーズが進むごとにプレイヤーを驚かせてきた。

それぞれのタイトルで世界観は異なるものの、タイトルにもある「ファンタジー」がシリーズの基盤となっている。特に印象的な要素は、ファミリーコンピュータ『ファイナルファンタジーIII』より使用できるようになった「召喚獣」の存在だろう。シヴァ、イフリート、オーディンなどなど、魔法で呼び出すことで、強敵を相手にここぞという場面で使えるこの召喚獣。シリーズを重ねるごとに、使用時の演出もより豪華になっていき、召喚魔法を使い終えるまでに数分の時間がかかるものもあった。

いずれの召喚獣も入手するために苦労がいるもので、撃沈を繰り返してようやく手に入れた召喚魔法は思い出深いものとなった。

■高難易度ダンジョンでドロップする『FF4』マインドF

スーパーファミコン版『ファイナルファンタジーIV』では、イベントで手に入る召喚獣の他に、「ゴブリン」や「ボム」など戦闘後のモンスタードロップによって手に入る召喚獣があり、その中でも「マインドフレア」が落とす「マインドF」は入手するのにかなりの苦労が必要だった。

モンスタードロップ系の召喚獣は、1092分の1の確率でドロップされる。かなりの低確率のため、相当運が良くなければクリアまでドロップしない。そのため、存在すら知らないというプレイヤーも多かっただろう。

根気よくモンスターを倒し続けないと手に入らないドロップ系召喚獣だが、その中でも「マインドF」を入手できるのは金属を装備できない、『FF4』の中でも屈指の高難易度ダンジョンである「磁力の洞窟」だ。

磁力の洞窟は、逃げの一手で攻略する人も多く、マインドFを落とすモンスター「マインドフレア」の出現確率自体も低い。なので、偶然ドロップすることは皆無であろう。

マインドフレアはイカの頭部に魔導士の法着を羽織ったクトゥルフチックなモンスター。見た目も個性的で、入手も非常に苦労する召喚獣ではあるものの、そこまで実用性が高いわけではない。知る人ぞ知る、拾えたらラッキーな召喚獣だ。

■チョコボ育成を極める『FF7』ナイツオブラウンド

2024年2月にリメイク作続編となる『ファイナルファンタジーVII リバース』が発売となったシリーズ第7作『ファイナルファンタジーVII』。同作ではマテリアと呼ばれる結晶を武器や防具に装着することで魔法を覚えていくシステムが採用されており、召喚獣を呼び出すことができる召喚マテリアがキャラの成長において重要な位置を占めていた。

レッドドラゴンを倒すことで手にいれることができるバハムートなど、強大な力を秘めた召喚獣を使用できる召喚マテリアを入手するのは苦労が必要だが、最強の召喚獣「ナイツオブラウンド」の入手難易度も非常に高かった。入手するために、まず最強のチョコボを育成しないといけない。海を歩ける「海チョコボ」を作らないといけないのである。

同作では野生のチョコボを捕まえ育成するシステムが採用されていた。育てたチョコボをカップリングすることで、それまで行けなかった地形を越えることができる特殊チョコボが生まれるが、この海チョコボは海を含めてすべての地形を歩ける最強の乗り物。

しかし、海チョコボを作るには、評価A以上のチョコボを根気よくカップリングし続けないといけない。カップリングに必要な実もチョコボも、世界各地から入手しなければならず、完成までの道のりは険しい。

そして、ようやく作った海チョコボしか行けない洞窟で、ようやく入手できるのが召喚マテリア「ナイツオブラウンド」だ。召喚魔法は「アルティメットエンド」。13人の騎士たちが次々と敵を斬りつけるというもので、総ダメージは10万を超える。まさしく入手難易度にふさわしい「最強」の召喚獣だ。

■都市伝説級の隠し召喚獣『FFタクティクス』ゾディアーク

ナンバリングシリーズ以外では、『ファイナルファンタジータクティクス』の「ゾディアーク」の入手に苦労した思い出があるという人も多いだろう。

同作は1997年にプレイステーション用に発売されたシミュレーションRPGで、スーパーファミコン『タクティクスオウガ』のシステムに『FF』の「ジョブチェンジ」などのシステムが採用されたタイトル。本作では召喚士が召喚魔法を唱えることができる。

「ゾディアーク」はディープダンジョンの最下層で入手できる召喚獣だが、そのディープダンジョンの攻略が困難なのである。

まず、ディープダンジョンに行けるようになるには、最終盤に貿易都市ウォージリスに立ち寄るのが条件。この条件はクリアには直接関係しないものの、サブイベント探しに町に立ち寄る人もいるので、発見自体はそれほど難しくないだろう。

しかし、発見してからが曲者である。ティープダンジョンは、かなり特殊なダンジョンで、真っ暗闇のうえに、次のフロアに行くための階段がランダムで出現する方式が採用されている。階段を発見するにはアビリティ「アイテム発見移動」を装備するなど、特殊な手順を踏む必要があるので、下手をすれば階段を発見することもできないといったことが起こりがち。敵も強いので、クリアより難しいかもしれない。

そして、そのディープダンジョンの最下層に出現する敵が使う召喚魔法「ゾディアーク」を、召喚士が受けることでようやく習得となる。敵の攻撃を受けて習得するラーニング自体が、かなり特殊なスキル習得方法なので、それに気づかない人も多いであろう。

何回も特殊な手順を踏まないと手に入らない、都市伝説のような召喚獣である。

ナイツオブラウンド以外はそれほど強くなく、実用性がほぼない召喚獣だが、入手できただけで嬉しいものだ。隠し要素も含めて、すべてのアイテムや魔法を入手したくなってしまうのも、『FF』シリーズの魅力のひとつだろう。

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