【片山喜弘さん(片山商店/代表取締役)】“良い糀を大切に作り続けたい”


【プロフィール】
片山喜弘(かたやまよしひろ):旧亀田町(現新潟市江南区)出身。高校卒業後は県外の大学へ進学し、経営学を学ぶ。その後、糀屋として明治38年に改号した『片山商店』を継ぐため帰郷。『糀へぎこも掛け製法』で品質の良い糀造りを続けると同時に、「お米マイスター」や「ごはんマイスター」の資格を取得し、より良い製品やお店づくりを目指している。


ガタチラスタッフ:『新潟人203人目は、株式会社片山商店の片山喜弘さんです!亀田地区の地場産業である織り機を作るお店から、糀屋として明治38年に改号した『片山商店』!3代目としてより良い商品を追求する片山さんに、おいしい糀づくりの秘訣のほか、商品への想いなど様々なお話をお聞きしました!素敵な笑顔で取材に応じてくださり、ありがとうございました!』

糀初心者からのスタート

—跡を継ぐのは幼少期から考えていましたか?

片山さん:「継ぐのかな」とは思っていましたが、具体的には考えていませんでしたね。両親が体調を崩したのをきっかけに帰郷し、跡を継ぐことを決めました。

—不安などはありましたか?

片山さん:不安を感じる暇もないくらい必死でしたよ!(笑)知識も経験もゼロだったので、本を片っ端から読んだり…。それでもわからないことは当時加茂市にあった食品研究所へ直接聞きに行ったりとがむしゃらでした。

—必死さが伝わります…。

片山さん:学んでは実践しての繰り返しで、文字通り試行錯誤の日々で何とかやってきました。それでわかったことは、やはり“糀を手と心をかけて大切に育てること”が何より大事であること。それがたくさんの失敗から学んだ事ですね。

—それで新しい「糀室(こうじむろ)」を造られたのですか?

片山さん:そうです。杉板で造られた専用の室は、造り酒屋さんでは珍しくないですが、当店のような規模の糀商店では珍しいと思います。それでも何より『糀』を大切に育てるためには必要と考えました。

おいしい糀を育てるためには、室の手入れも重要です。その甲斐あって、室を造ってから30年以上経ちますが、杉板の状態は作った当時と変わらないほどの綺麗さを保っています。

良い糀をより楽しんでもらうために

—大切に作られた糀は、やはり美味しいのでしょうね!

片山さん:当店の甘酒を飲んでいただければ、どれだけ手をかけて大切に作られた糀であるかをすぐに実感してもらえると思います!甘酒は原料が糀だけなので、ダイレクトに糀の味の違いがわかります。高島屋のセレクトショップのバイヤーさんも大変気に入ってくださって、雑誌でも紹介してくださいました!

—それは嬉しいですね!

片山さん:当店の甘酒は、やさしい甘さと染み渡る美味しさが特徴です。甘酒が苦手な方ほど飲んでみて欲しいですね!豆乳やトマトジュースと合わせても美味しいですし、個人的には“シャーベット”にして食べるのが一番好きです。

—『甘酒のシャーベット』は特に美味しそうですね!

片山さん:真夏の暑い時期は特に最高ですよ!その美味しさの理由は、良い糀を作ることに専念しているからこそだと自負しています。『糀』と一言に言っても、人間のように色味や特性がそれぞれ違います。白色のイメージがある糀ですが、実は黄色や緑色のものもあって、それらを使い分けることでより美味しい糀製品が完成します。

—糀にも種類があるとは驚きです!

片山さん:当店のような規模で、数種類の糀を作っているのはなかなか珍しいと思いますね(笑)。本当に美味しい糀をきちんと使い分けて作られたものであれば、甘酒でも味噌でも、人間が手を加える事はほとんどないんですよ。

糀で美味しく、身体に良い食事を

—特におすすめの商品を教えてください!

片山さん:甘酒はもちろんですが、塩の代わりに色々な料理に使える『塩こうじ』はおすすめです。かぶや人参、きゅうりに塩こうじだけ入れて一晩おくと、美味しい浅漬けになりますよ。

うまみと甘みのある“塩こうじならではの使い方”で、減塩にもなります。南瓜を塩こうじだけで煮るのもとても美味しいですし、何に取り入れても素材の色味が綺麗に出ることが特徴です。

—健康にも良く、簡単に取り入れられる『塩こうじ』を早速試してみたいと思います!

片山さん:ぜひお試しください!店頭では『味噌』を量り売りもしています。容器をご持参いただくと、“一割増しサービス”をさせていただきます!製造元ならではの販売の仕方だと思いますね!

—お米も販売されていらっしゃるのですね!

片山さん:お米は糀に欠かせないので、知識を深くしなければと『お米マイスター』『ごはんマイスター』の資格を取得して販売もしています。当店オリジナルの『新潟ブレンド米』はおかげさまで一番人気です!“温かくても冷めても美味しい”というコンセプトでブレンドしていて、県外の方からも多くの注文があります。

大切に手をかけた糀を作り続け、広めていきたい

—お客様との印象に残るエピソードを教えてください!

片山さん:(お客様の)身体が衰弱して固形物が食べられなくなった時に、「当店の甘酒だけは口にできた」というご家族のお話はありがたかったですね。そして、シンプルに「とても美味しかった!」という感想が本当に嬉しいですし、やりがいを感じます!

—最後に、今後の目標を教えてください!

片山さん:“発酵食品を広める活動”を広げていき、気軽に糀を生活の中に取り入れていただきたいですね。より多くの方に健康的で美味しい食生活を通して、楽しい毎日を過ごして欲しいですから。そのために、これからも「美味しくて良質な糀」を作り続けていきます!

\「片山商店」の商品は通販サイト「ガタ市」からも購入できます!/

【片山商店】
住所:新潟市江南区袋津1-4-35
電話:025-381-2423
営業時間:9:00~19:00
定休日:日曜日・祝日
公式ホームページ:https://e-kome-miso.com/

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