「クラノミ」が生まれ変わる!6月1日(土)に壽酒造「國乃長クラノミタップルーム」がグランドオープン!

大阪府高槻市にある壽酒造株式会社が、6月1日(土)から「國乃長クラノミタップルーム」をオープンします。タップルーム開始の背景などを、壽酒造株式会社 営業課長 久保田良家さんに伺いました。

國乃長クラノミタップルーム

<壽酒造とは>
大阪・摂津富田で1822年に創業。江戸時代に栄えた「摂津富田郷」の酒作りが、兵庫の灘、京都の伏見の台頭により減少するなか、古くは「醸の国」とまで呼ばれた摂津富田郷の酒造りの伝統を絶やさないために醸造開始。現在は清酒(日本酒)、クラフトビール、焼酎を手掛ける。

國乃長クラノミタップルームについて(プレオープン期間の手ごたえ・クラノミとは・こだわり・國乃長ビール紹介)

壽酒造株式会社 営業課長 久保田良家さん

―6/1(土)のグランドオープンに先駆け、5/20(月)からプレオープンされていました。プレ期間中の手ごたえはいかがでしたか?

久保田さん(以下敬称略):大々的な宣伝はしていないので、いらした方はほぼ公式SNSを見て来てくださいました。平日夕方までしか開けていないのに(※)、来てくださる方は多かった印象です。2022年まで「クラノミ」というイベントをしており、そこに参加してくださっていたお客様が多く来てくださいました。口コミが広がるのはこれからかなと思っています。
※プレオープン期間中。グランドオープン後は平日10:00-17:00、土曜11:00-17:00予定。

―「クラノミ」とは?
久保田:実際の「蔵」で、壽酒造のビールや日本酒が飲めるというイベントです。日本酒でいう「蔵開き(※1)」より気軽に参加していただけるように、もう少し小さい規模で、週末に行っていました。
※1 日本酒の酒蔵が、新酒ができたことを祝い行うイベント。新酒や限定酒の試飲販売が行われる

改修工事前の蔵 提供:壽酒造
2021年のクラノミ。瓶詰めなどを行う作業場で行われていた 提供:壽酒造

反響をいただいていましたが、蔵の老朽化の問題もあり、2023年4月から改修工事を開始しました。建物が生まれ変わり、かつビールは6タップ、氷冷サーバーで飲めるようになったため、タップルームのことを「シンクラノミ」と呼んだりもしています。

注文カウンターは樽を模して湾曲にした
新しいタップルームには、以前の蔵の柱をきれいにして使用

―國乃長クラノミタップルームのこだわりは?

久保田:タップルームは壽酒造のお酒の購入ができ、かつ気軽にお酒を楽しめるよう角打ちスタイルにしました。スタンディングテーブル4つと、壁側に棚付きテーブルを設置しています。あとはタップルームの外にもテーブルを出しており、土曜は外にテントを出してテーブルとイスも用意する予定なので、外飲みも楽しんでいただけます。

國乃長クラノミタップルーム  外観

ビールのタップは6つです。6種類のビールと、5種類の日本酒で、どちらも同じくらいになるようにしました。焼酎も1種類あります。ビールは定番3種(蔵ケルシュ、蔵アンバー、貴醸ゴールド)と、限定3種です。

―國乃長のビールについて教えてください。

久保田:國乃長ビールは食中酒にこだわっています。料理を選ばず、食事と共に何杯でも楽しめるビールを目指した「蔵シリーズ」、酒蔵にしかできないビールをと造ろうと、麦汁を清酒酵母で醸し、発酵途中に純米酒を入れた「貴醸シリーズ」、そして限定ビールがあり、蔵ケルシュ、蔵アンバー、貴醸ゴールドは常にタップルームでも飲めます。國乃長ビールで最初に造られたのは「ケルシュ」です。現在もケルシュを継いだ「蔵ケルシュ」が一番出荷量も多く、長く愛されています。ぜひタップルームでは、最初の一杯に蔵ケルシュを飲んでみてください。

ビールのタップは6種類。注いでくださったのは、醸造部門の髙橋勇一さん。タップルームには醸造に携わるスタッフも立つ
國乃長 蔵ケルシュ。爽やかな香りと麦の味わいが心地よい

國乃長クラノミタップルームをより楽しむ3つの豆知識

なぜ最初に造られたビールはケルシュ?

壽酒造のクラフトビールの醸造開始は1995年。1994年の地ビール解禁(※2)の翌年であり、大阪では最初の、全国でも9番めの醸造開始でした。当時ビール造りの参考にされたのは、ビール大国・ドイツのエールビール(上面発酵ビール)です。

エールビールは発酵が進むと麦汁の上部に酵母が浮き上がる酵母を使ったビールで、発酵温度は高め。一方、日本の大手ビールメーカーが当時から造っていた「ピルスナー」はラガービール(下面発酵ビール)で、発酵が進むとタンクの底に沈んでいく酵母を使い、低温で発酵させます。

エールビールはラガービールよりも発酵の期間が短く、早く造れるという利点がありました。かつエールビールの中でも「ケルシュ」はラガービールと同じく低温で発酵が行われるため、日本にも知見があり、造りやすかったと考えられています。

※2 酒税法改正が行われ、ビールの製造免許をとるのに必要な最低生産量が年間2000KLから60KLに引き下げられた

國乃長のケルシュの歴代ラベル。左から古く、右が最新版(2011年~)

「アルト」というビアスタイルも、低温発酵のエールビールです。國乃長ビールには「蔵ケルシュ」と「蔵アンバー」がありますが、「蔵アンバー」の前身は「アルト」でした。

國乃長ビールを造っているのはどこ?

國乃長クラノミタップルームの目の前の蔵、ではなく、道路を挟んでタップルーム南側の工場内で造られています。タップルームの目の前は日本酒の工場です。

写真左に見えるのが國乃長クラノミタップルーム。道路を出て南に進みます
南に直進すると角に工場がありました!ビールの醸造作業はすべてここで行われています
工場内を一部ご紹介。(上)仕込工程に使うタンク。4つに分かれているのが特徴(下)発酵・貯蔵に使うタンク。蔵の梁に歴史を感じる

國乃長の顔でもある「カエル」のイラスト。ビールのカエルと日本酒のカエル、どちらが古い?

(左)ビールのカエル(右)日本酒のカエル

「蛙が住むところには綺麗な水がある」。國乃長の蔵の井戸には、多くのミネラル分を含む阿武山山系の伏流水が湧き出ており、そんな水へのこだわりを表現するためにカエルのイラストが採用されています。

そして日本酒のカエルは、元々あったビールのカエルを元に、後からデザインされました。デザインを担当したのは、当時壽酒造で働いていた寺田圭佑さん。関西のブルワリーが終結する、大阪のビールイベント「CRAFT BEER LIVE」のロゴも、寺田さんが手掛けられています。

タップルーム情報

國乃長クラノミタップルーム
〒569-0814
大阪府高槻市富田町三丁目26-12
阪急富田駅から徒歩6分、JR摂津富田駅から徒歩10分

営業時間:
月~金 10:00-17:00(L.O.16:30)
土 11:00-17:00(L.O.16:30)

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