「明鏡止水」“武術翻訳家”岡田准一にケンドーコバヤシが「岡田くんが一番変態(笑)」

岡田准一ケンドーコバヤシがMCを務める、NHK総合の武術トークバラエティー「明鏡止水 武の五輪」(水曜午後11:00)の合同取材会が行われた。MCの2人が出席し、見どころや収録のエピソードなどを語った。

“武術翻訳家”こと岡田と、日本が誇る武の達人たちがオリンピックスポーツの神髄に迫る「明鏡止水」。武術の心得がある岡田と、格闘技通のケンドーコバヤシがMCを担当し、武術・格闘技の達人たちに加えてオリンピックスポーツのトップアスリートたちが参戦する。熱いトークと神業を披露。今回のシリーズは「運動」を原点から最先端まで幅広く捉え直すとともに、オリンピックの格闘競技の数々を武術ならではの身体操作の視点でひもといていく。

番組について、岡田は「僕の好きなことをやっている番組だと思われているかもしれませんが、そういうわけでもなく、たくさんの人たちに文化として武術や格闘技、そして体を動かすことの魅力や再発見のお手伝いができればいいなと思っています。自分が真剣にやって培ってきたことなので、話せることも伝えられることもたくさんあると思って、初めにオファーをいただいた時に『喜んでやります』とお答えしました。ケンコバさんと一緒にお話をさせていただくのは幸せです。コアなファンがついてくださっている番組で、ぬるいことはできない。どんどんコアな番組を作っていけたらなと思っています」と意欲を燃やす。

コバヤシは「岡田准一という男は、僕の近しい先輩・加藤浩次から共演NGを出されている男なんですよ。生放送で失神させられかけたらしいので。よく『大丈夫!?』と聞かれるんですが『全然大丈夫です』と伝えています」とユーモアを交えつつ、「超人たちの技術を岡田くんがうまく言葉にして伝えてくれるのが、この番組の面白さだと思います。いろいろな角度から、ためになる番組なので、皆さんメモを用意して見ていただいたら」と番組の魅力を語る。

新シリーズでは、スポーツクライミングやパルクールなど、武道以外のスポーツも取り上げる。岡田は「身体操作というテーマで、武術としての身体操作と、スポーツとしての身体操作の親和性や違いを掘り下げていく。オリンピックイヤーなので、オリンピックを盛り上げたいということも含めて、競技を掘り下げていきます」と新しい試みに胸を膨らませると、コバヤシは「パルクールやボルダリングは、岡田くんが映画の演出やアクションに役立てるために、ねじ込んだんじゃないかと思っていますけど(笑)」とコメント。岡田はさらに、「身体操作という視点で武術とスポーツを結びつけることで、新たな視点でオリンピック競技を楽しめるようになっている。今回のシリーズも、コアな武術ファンだけでなく、一般の視聴者も楽しめる内容になっています」とアピールした。

オリンピックで特に注目している競技に関して、コバヤシは「柔道はすごく楽しみですし、この番組で取り扱った馬術は、今までちゃんと見たことがなかったので、見てみようかなと思います」と言い、岡田は「全部気になりますが、本当に達人と言われる人が日本で多いのは柔道やレスリングの選手。特に柔道のトップ選手の強さは本当にすごいので、その強さを知っている分、楽しめる部分があります」とコメント。また、岡田はシドニー五輪金メダリストの井上康生氏とのエピソードを披露し、「プライベートでご飯を食べながら柔道のことをずっと聞いてしまいました。『ずっと柔道のこと聞いてくるな』と思ったはずです」と言って、笑いを誘った。

番組を進行する中で感じる楽しさにも触れ、岡田は「出演者の皆さんがそれぞれの武術やスポーツをリスペクトしていて、ほかのことを否定しないのが素晴らしいです。好きなことを話す時に皆さんが生き生きとしているのを見るのが楽しいですし、脱線しそうなところをケンコバさんが止めてくれたりと、そういうやりとりが面白いですね」と話すと、コバヤシは「撮影の合間に達人たちが礼儀正しく、柔らかく教えてくれる姿を見て、人間ができていると感じます。ただ、セット上の武道場に上がった時の殺気はすごいです。放送コードには引っかからないかもしれないけど、それくらいの殺気が出る瞬間も見どころです」と伝えた。

岡田が実演して解説する場面に関しては、「もっと動きやすい格好にした方がいいのでは」という質問に対して、岡田は「僕もそう思っているんですが…」と同意しつつ、「武術翻訳家なので本来は翻訳するだけでいいんです。視聴者から胴着で出てほしいという声があるのは知っています。動きやすい格好の方がいいのですが、僕が動きやすい格好で出たらケンコバさんが寂しく思うかもしれないので…」と笑いながら回答。

そんな岡田に対して、コバヤシは「本当に現代人なのかと思うような世捨て人みたいな方もいます。そういう人が来た時、岡田くんがうれしそうに『この人、変態なんだよ』って叫ぶんですけど、その姿が一番変態なんです。怖いんですよ」と達人たちと対面した際の岡田の様子に言及した。

また、制作過程では「打ち合わせも非常に綿密に行っています。テーマについて、スタッフの中で一番詳しいのは僕かもしれません。どこを見せるべきかを知っているので、意見を交わしながら進めています。スタッフが熱意を持って番組を作っている姿を見ると、胸を打たれますね。現場で皆さんが楽しそうにしているのを見るのが一番の喜びです」とし、視聴者に武術を分かりやすく伝えるために「言葉で説明するのは難しいですが、視聴者が『へえ~』と思えるように心がけています。重心の置き方など、視聴者に分かりやすく伝えることを意識しています」と工夫していることを報告。

コバヤシは「岡田くんが『木刀は折れるんです』という名言を残しましたが、木刀が折れるのを初めて見たので驚きました。岡田くんは本当に想定台本に収まらない行動をするんですよ。だから、次の仕事に遅れないように、次のシーズンがあれば、スケジュールを調整しないと(笑)」と岡田の意欲的な姿勢に感心。そして、「番組上、平気で使ってますし、台本などにも記載されてきましたが、“武術翻訳家”なんて職業は本来存在しません。でもそれが岡田くんを表す最高の言葉なんです。翻訳のタイミングや話が進みすぎないように引き止めるのが僕の役割ですね」と続けた。

これまでの収録で特に印象に残っている回の話題になり、コバヤシは「ボクシングの回(6月12日放送・第4回)がすごく印象的でした。岡田先生が熱く語ってくれたんですけど、パンチだけの攻撃に特化していて、パンチの進化がすごいです。オリンピックのアマチュアボクシングとプロボクシングの違いも分かりやすく教えてもらいました」と声を弾ませ、岡田は「どの回もよかったですが、特に柔道の回はたくさんカットされてしまったので、もっと時間があればよかったなと思います」と振り返ると、コバヤシも「台本通り進めても30分では入らない内容も多いので、もう少し枠を取ってほしいですね」と要望した。

その後、「番組出演を通して得た学び」について質問が及ぶと、「今回のシリーズでやらせてもらった歩行に関して、かなり気を付けるようになった」というコバヤシは、「最近は意識して歩くようにしています。まだ結果は出ていませんが、長い時間をかけて効果が出ると思います」と胸を張る。

一方、岡田は「僕は普段から身体操作を意識しているので、この番組で特に新しく学んだというよりも、普段から実践しています。もっと伝えたいことがたくさんあります。例えば、膝が痛い方に役立つ情報や、生活を楽にする方法などです。昔は作法や舞、足並みといったものをみんなが習っていましたが、今は習う機会が少なくなっています。そういったことを知れば、生活が楽になると思っています。この番組がその手助けになればうれしいです」と力を込め、「この番組はもともとコアなマニアックな番組として始まりましたが、セカンドシーズンに入って認知度が上がってきたのを感じています。多くの方から『この番組が好き』と言われるのは本当にうれしいことです」と番組への反響に喜びを表した。

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