【西武】高橋光成まだ続く未勝利 MLBスカウトの評価も辛辣「昨年までと体が変わってしまって…」

苦しい投球が続く西武・高橋光成

迷える右腕の背信投球が試合をぶち壊した。西武は31日の巨人戦(ベルーナ)に1―4で敗れ、今季2度目の3連勝を逃した。借金は再び15に増え、4位タイに並んだオリックス、楽天との差は4・5ゲームとなった。

試合後は西武・渡辺久信監督代行(58)のやり場のない思いが、次のような言葉でベルーナドームの関係者通路に響き渡った。

「あーっ、何にもできなかった!」

監督代行に就任して初の本拠地ゲーム。先発マウンドに立った高橋光成投手(27)が3回1/3を72球、8安打3失点と試合を作れず序盤で突き放され、ビハインドを許してしまった。このような展開では前回登板でノーヒットノーランの快挙をやってのけた巨人先発・戸郷を相手に、指揮官も采配の振りようがなかった。

渡辺監督代行は高橋光について「もろいね。踏ん張りどころで踏ん張れないところもあるし、ストライクボールもはっきりしている。勝ってもらわなくちゃいけないピッチャーなので。カード頭でもあるし、先に点をやる展開はどうしても今のうちの状況だと、苦しい試合になる」と厳しい言葉を並べた。一向に上昇する気配のない〝エース〟の現状に苦言を呈した格好だ。

一方で高橋光は「(制球に)ズレはありますけど、試合中はメカニックとか言っていられないので、そこを早くアジャストして試合に入り込めたら。まだ終わりじゃないので、巻き返せるキッカケを自分でつかめるように。明らかなボール球が多いので、ストライクが取れれば(打者の)反応も違ってくる。良くはなってきているので、自分でどうにかするしかない」と前を向いた。

ここまで通算65勝の高橋光は一昨年、昨オフと契約更改で球団に対し、2年連続でポスティングシステムでのMLB挑戦を直訴してきた。今季は夢実現の意味もあって「30試合、200イニング登板。全ての成績でキャリアハイを目指す」という目標を掲げながら今季に臨んでいるとはいえ、キャンプ終盤に右肩の張りを訴えて出遅れるなど、開幕前から暗雲が垂れ込めていた。ふたを開けてみても、ここまで7試合(39回1/3)で0勝5敗、防御率4・12とキャリアハイどころか過去ワーストペースの登板が続いている。

肝心のメジャー側の評価も「昨年までと体が変わってしまって、明らかに今の体をコントロールできていない。今日も球速は96マイル(約155キロ)が出ていたけど、コマンド(狙ったスポットに投げる能力)に問題を抱えていて、正直、評価に値しない」(ア・リーグ球団スカウト)と困惑気味。この日もネット裏に陣取った複数球団のMLBスカウトから視線を向けられていたが、確かにこのような体たらくではバッサリ切り捨てられるのも無理はない。

オフの肉体改造で高橋光は7キロ増の末、112キロにまでパンプアップ。「まるでプロレスラー」とまでささやかれる大増量マッチョボディーをほとんど扱い切れていない右腕の現状には、MLBスカウトたちもため息を漏らすしかないようだ。

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