那須川天心がバンタム級の日本人4王者に挑戦状、ボクシング4戦目で世界4位と対戦

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7月20日にロドリゲスと初の10回戦「自ずとKOできる」

プロボクシングのWBAバンタム級7位・那須川天心(25=帝拳)が7月20日に東京・両国国技館で同級4位ジョナサン・ロドリゲス(25=アメリカ)とノンタイトル10回戦に臨む。

キックボクシングから転向して4戦目で初の10回戦。1月にルイス・ロブレス(26=メキシコ)に3回終了TKO勝ちして世界ランク入りしており、現在WBOでも11位、WBCでは13位にランクされている。

5月31日に会見した天心は初の10回戦に「けっこう早いなあというのはありつつ、前回の評価や今の成長具合を見て、タイトルマッチをやらせてもらえる段階に近付いていると感じる。今回の10回戦、ジムにもお客さんにも世間にも試されている」と自らを客観視して意気込みを示した。

ここまで3戦3勝(1KO)。前回が初のKO勝ちだったものの相手の棄権によるものだったため、まだテンカウントを聞かせたことはない。無理に打ち合わないファイトスタイルに物足りなさを指摘する声もあるが「前回はTKOだったけど今回はKOしたい。力まずに自分のスタイルでやっていく。狙いにいくというより自ずとKOできるんじゃないかと思う」と自信を見せた。

そう言い切れる裏には地道なトレーニングの積み重ねがある。「前回の試合から約6カ月空いたけど無駄じゃない。着々と進化できてると自分でも思う」と手応えをつかんでいる。

元世界王者に1回KO勝ちしたロドリゲス

とはいえ、相手のロドリゲスは天心より上位ランカーで、2023年11月には元WBAスーパーフライ級王者カリド・ヤファイ(イギリス)に1回KO勝ち。強烈な右フックでダウンを奪うと、その後も一方的に攻めてイギリスのベテランを倒した。

今年2月にWBAバンタム級挑戦者決定戦でアントニオ・バルガス(アメリカ)に7回TKOで敗れたが、ダウン応酬の激戦だった。戦績は17勝(7KO)2敗1分けとノックアウトは多くないものの一発で倒すパワーを秘めており、危険な相手だ。

天心は「面白い戦いができる選手だと思う」とエキサイティングな試合を予告。さらに同じ日のリングに上がるWBOスーパーフライ級王者・田中恒成(28=畑中)もジョナタン・ロドリゲス(28=メキシコ)と防衛戦を行うことから「田中選手の相手もロドリゲスなんで、ロドリゲス対抗戦としてしっかり2人で勝ちたい」とユーモアを交えて勝利を誓った。

日本人独占のバンタム級王座「全部取るつもり」

バンタム級は主要4団体全て日本人選手が王座に就いている。WBAが井上拓真(大橋)、WBCは中谷潤人(‎M.T)、IBFは西田凌佑(六島)、WBOは武居由樹(大橋)がベルトを巻いており、中でもK-1からボクシングに転向した武居は、キックから転向した天心との対戦が期待されている。

しかし、天心はさらに上を見ていた。「世の中の人は武居君て言ってほしいのは分かるけど、1個取ったらいいと思ってない。全部取るつもりでいるんで全員意識してます」と将来的な4団体統一をぶち上げた。

もちろん、4人の王者は世界中の猛者からターゲットとなっており、日本にも虎視眈々とベルトを狙う世界ランカーは数多い。井上尚弥(大橋)が4団体の王座を返上したバンタム級は日本人も多く群雄割拠の様相なのだ。

「全員日本人チャンピオンで四天王。僕もランクを上げて、しっかり勝っていけば、自ずと次は天心と言われると思う。来年あたりにはその位置に立てると思う。自分のために4人がいるという意気込みです」

ロドリゲスに勝てば世界ランクはさらに上昇するだろう。バンタム級ウォーズはこれからさらに盛り上がりそうだ。



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