富山湾の地震影響探る 富山大など環境・生態系を調査

海洋調査に向けて出港する長崎丸=伏木富山港

 富山大、九州大、長崎大でつくる研究チームは31日、能登半島地震で海底地滑りが発生した富山湾周辺の海洋調査を始めた。長崎大の練習船「長崎丸」を使い、地震と津波による湾の環境変化や生態系への影響を3日間にわたって調べる。

 3大学の教授や学生ら計58人が参加し、黒部川と早月川の沖合や日本海の深海などを重点的に回る。3月に海底に設置した土砂の流れを調べる機器を回収するほか、海水や堆積物、プランクトンを採取する。

 研究チームは2009年から富山湾で調査しており、海底地形や水質、水の流れなどを地震発生前のデータと比較して分析する。

 31日は射水市海王町(新湊)の伏木富山港から出港した。富山大学術研究部理学系の張勁(ちょうけい)教授は「地震後の海洋環境がどうなっているのか、診断することが最大の目的」と強調。シロエビなどの漁獲量が変化した要因も探りたいとし、「あらゆる角度から調べ、解明につなげられればいい」と話した。

 調査結果は6月上旬に中間の取りまとめを行う。

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