愛川ゆず季が告白「長男の自閉症を隠していたわけじゃない。でも言葉にすごくパンチがあって…」

甘えん坊の長男をおんぶする愛川さん

昨年、6歳の長男が自閉スペクトラム症を抱えていることをブログで公表した、元グラビアアイドルで女子プロレスラーの愛川ゆず季さん(41)。支援につながる前の思い悩んだ時期に自身がパニック障害に陥ったこと、周囲の支えで回復していった経緯もYouTubeなどで発言。著名人である愛川さんの真摯な告白が、同じ境遇の親たちを勇気づけ、感動を呼んでいる。前編『2歳で長男の自閉スペクトラム症を確信した“逆さバイバイ”』では、長男の障害を告知されたことを悲観しながらも前向きに進もうとする愛川さんの姿を紹介した。後編では、どのように長男の障害を受容し、そして、長男と共に前を向いていく決意をした経緯について詳しく話を聞く。

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「うちの息子は本当にコミュニケーションが難しいというか、こだわりが強くて。大人とはコミュニケーションが取れるんですけど、子供同士だとトラブルが多いこともあり、生活していく中で手助けが必要でした」

長男の保育園時代はコロナ禍の真っ只中。

「言葉が片言で、感情表現が苦手なので、お友達を噛んじゃったり、眼鏡をぐちゃぐちゃに壊してしまったり。本当に毎日謝ってばっかりで。すごく辛かったというか、苦しかった」

保育園の懇談会がなく、保護者が集まる機会もないため、言いたくても言えずモヤモヤ。実はコミュニケーションが苦手なこともあって、孤立感に苛まれた。

「他のお友達と遊んでいたら、比べてしまう自分がいるんです。辛くなるし、やっぱり現実を見ない方がいいのかなと。その時がしんどかったです。うちの子は全然ご飯を食べないけど、他の子はこんなに美味しそうに食べているとか、小さなことですごく悩んで…」

子育て中の友人にも、「大切なお子さんを傷つけたらどうしよう」と気になり、なかなか会いに行けない日々が続いたという。

■幸せそうに見えるかもしれないけど「実は色々あるよ」と伝えたくて…

緊急事態宣言が解除された2023年末、ようやく保育園の懇談会が開かれた。自身の口から長男の状況を説明した。

「息子の障害のことを話したら、みんな真剣に聞いてくれて。すごく理解してくれて、ありがたかったです」

最近、長男は障害者手帳の一つである「愛の手帳」(療育手帳)を取得した。

公表したことについて愛川さんは、「隠していたわけじゃないけど、自閉症っていう言葉はすごくパンチがあるので言わなかった。でも、だんだん隠しているような気がしてきたんです。私は傍からは幸せそうに見えていると思うんですけど、『実際は色々あるよ』と伝えたくて」、自分の意志で決めたという。

「これだけ悩んでいる人がいる中、『私もいるよ』という仲間がいてもいいと思って。公表したことで、同じような境遇の方からメッセージをいただけたのが、すごく力になった。『一緒に頑張っていこう』という気持ちになりました」

「息子を育てていて思うのは、普通の子育てよりも本当に大変だということ。頑張りが報われるかどうかはわからないけど、子どもが可愛いことに変わりはないです。将来を考えれば悩みますが、『今を大切に生きていこう』というのがテーマなので、あまり悩んでいないかな」と笑う。

愛川さんを支えているのは周囲の人々だ。

「一番力をもらったのが、息子の話をした時に、今の世の中でもこんなに優しい人がたくさんいると心から感じられたこと。周りには隠していたんですけど、Yahoo!ニュースで気づいて『感動して泣きました』と声をかけてくださって。本当に仲良くしてくださる、心強い仲間の存在がすごく嬉しい。優しすぎる周りの方々に助けられています」

発達障害についての理解が深まることを願う愛川さん。自身のパニック障害の発作は、吹っ切れてから1回もないそうだ。

※前編【2歳で長男の自閉スペクトラム症を確信した“逆さバイバイ”】も必読だ。

(取材・文=中西美穂)

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