巨人復帰も…17年間で「一番の後悔」 一度は断ったオファー、未練残った1年半の挑戦

2021年に巨人に復帰した山口俊氏【写真提供:産経新聞社】

山口俊氏は米球界挑戦2年目途中に巨人へ復帰した

DeNA(前身時代含む)、巨人で活躍した山口俊氏は2019年にオフにポスティングシステムを利用してブルージェイズへ移籍した。しかし、思うような結果を残すことができず、2021年6月に古巣の巨人への復帰を決断。ユニホームを脱いだ現在、シーズン途中での帰国を「そこだけは後悔」と吐露した。

1年目は17試合登板で2勝4敗、防御率8.06に終わり、翌2021年2月に戦力外になった。「2021年の2月にDFA(事実上の戦力外)になった時点で、巨人から声をかけてもらったのですが、自分の中で手応えもあったので『まだチャレンジさせてください』と断ったんです」と明かす。

その後、ジャイアンツとマイナー契約を結び3Aサクラメントに所属したが、5試合登板で0勝3敗、防御率6・17の成績。6月3日に自由契約となった。再び自身に声をかけてくれた巨人への復帰を決めた。

「今思うのは、そこで帰ったのは一番の後悔です。やりたくてもやれない世界じゃないですか。マイナーだったとはいえ、メジャーに上がれなくても1年間やっておけばよかったと。17年間のプロ選手生活でそこだけは後悔です」

巨人復帰後は15試合に先発し2勝8敗、防御率3.56。結果だけをみれば負け越しているが、投球78回1/3を上回る83三振を奪うなど「自分のパフォーマンスとしては悪くなかった」と手応えは感じていた。

「未練はまったくないです。今が楽しいからですね」

翌2022年、4月8日のヤクルト戦(東京ドーム)に中継ぎで2回無安打無失点も同18日に出場選手登録を抹消。そして5月26日、イースタン・リーグの日本ハム戦(鎌ケ谷)で8回から救援すると、1球目で左膝を痛めて交代した。「(痛める)前兆はまったくなかった。踏み出しが合わなくて……また、すぐ戻る気持ちでやっていました」。しかし、再び1軍昇格を果たすことはなく、戦力外通告を受けた。

それでも自身のなかに引退という選択肢はなく、現役にこだわりオファーを待った。「秋季キャンプで練習生でも声がかからなかったら辞めようと思っていました。でも、子どもから最後に野球をしている姿を見たい、と言われたので次の年の2月まで待ちました。1月にはトレーニングもして」。結局、NPBからのオファーはなく、2023年3月に引退を表明した。

「未練はまったくないです。今が楽しいからですね。ずっと野球しかやっていない人生でしたが、今、自分で起業して飲食店を始めて、自分でスタッフを雇って、自分の店で育てる……すごく楽しいです。成長していく感じが」

現在は東京・港区六本木で「ちゃんこ TANIARASHI」を経営。連日、にぎわいをみせている。「野球選手がセカンドキャリアで、できていないところを目指しています。飲食店も1店舗だけではなく、これから会社として大きくしていって……。飲食店に関しては広く展開していくだけなんですけど、別業態も考えていて、そっちの方で上場できる会社を目指そうかなと考えています」。

山口氏はプロ野球出身者の枠を超え、これからも精力的に活動の場を広げていく。(湯浅大 / Dai Yuasa)

© 株式会社Creative2