「虎に翼」男装のよね役・土居志央梨、起用のきっかけは「おちょやん」

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伊藤沙莉が主演を務める連続テレビ小説「虎に翼」(NHK総合・月~土、午前8時~ほか ※土曜日は1週間の振り返り)が、6月3日から第10週に突入する。本ドラマでヒロインの寅子(伊藤)が通う明律大学の同級生で、土居志央梨が演じる男装の山田よねについて、制作統括を務める尾崎裕和が語った。

朝ドラ・110作目の「虎に翼」は、女性法律家の先駆者である三淵嘉子さんをモデルとしたオリジナルストーリー。日本初の女性弁護士で後に裁判官となった一人の女性が、困難な時代に道なき道を切り開き、迷える子どもや追いつめられた女性たちを救っていく姿を描く。第10週では、「すべて国民は、法の下に平等」と書かれた「日本国憲法」の存在に感銘を受けた寅子が家族を養うために、再び法曹の世界を目指す姿が映し出される。

いつも怒ったような表情で、誰とも群れず、孤独な一面をちらつかせる不思議な存在のよね。尾崎は彼女の人物構築について「脚本を作る前の段階で、脚本の吉田(恵里香)さんから、寅子の同窓生のよねが男装しているのはどうかというアイデアをもらった」と振り返る。「調べると、当時、女性でありながら男装して、社会で働く女性が実際にいたという事例があり、社会の中で戦うために、武装というか、鎧として男性の格好をしている登場人物のアイデアが自然と膨らんでいった」と回想する。

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寅子にとって、よねはカウンターパート的な存在。尾崎は「家庭環境がある意味恵まれた寅子に対して、よねは過酷な環境の中から立ち上がってきて、世の中のいろんなことが綺麗事に見えてしまう。だからこそ、この法の世界に入ってきたという背景を持つ」と説明し、「寅子の主張や思いに対し、そんな甘いもんじゃないと言える人物。友人として、同期として、寅子と対になる人物」と話す。

よね役に土居を起用した理由についても、土居が連続テレビ小説「おちょやん」(第103作)に出演したことがきっかけになったと振り返り、尾崎は「『おちょやん』のチーフ演出をしていた梛川(善郎)からお芝居がすごく良かったと聞いていたんです。今回は『おちょやん』の時より長く出演する役で、山田よねという役は土居さんがいいんじゃないかと吉田さんに話すと、土居さんならこの役を演じきってくれるだろうということで賛成してもらえた」と説明する。

尾崎は「とてもチャレンジングな役で、山田よねという役をやる難しさもあったと思うんですけど、それをやるにあたって、土居さんがいろいろと準備をしてくれて、ご自身でよねという役を作り上げていってくれた。とても信頼できる役者さんだなと思っています」と演じる土居の奮闘を絶賛する。よねの男装衣装についても土居の体型に合わせてオーダーして作ったそうだ。

第10週の見どころについては「新しい日本国憲法が世に出て、寅子が新しいスタートを切る。職場で寅子がどう戦うかが10週のスタートから描かれます」と述べ、「寅子が裁判官になる過程が描かれますが、法律と向き合う中、新しい法曹界の面々が出てきて、寅子がその人物たちと対峙する。そんな戦いの姿が見どころです」と語った。(取材・文:名鹿祥史)

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