【50代からの夏小物】目立ちすぎず、さりげなくセンスが光る「選びのポイント」とは?

この夏も猛暑が予想されています。外出時の暑さ対策はどうしよう?と考えてしまいますね。
ネッククーラーやハンディファン、冷感インナーなど、機能性重視の最新グッズもいろいろ出そろっていますが、優雅に夏を迎え撃つ美しい夏小物、ご存知ですか?

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機能性一点張りじゃないエレガントな日傘

白いレースが目を惹く日傘。こんな日傘をさしている人がいたら、思わず目を留めてしまいます。
レースは「バテンレース」という新潟県上越地方の伝統工芸品。
もともとは19世紀ヨーロッパで流行したレースが明治時代に日本に伝わり、雪深い上越地方の女性たちの内職として発展したという経緯があります。
ブレードという布テープでかたどった輪郭の間をひと針ひと針、手作業でかがり模様を施すのが特徴で、ドイツのバテンバーグという街が名前の由来とされています。

日本では現在、わずかひとつの工房しか作られていないバテンレース。その貴重なレースをあしらった日傘です。
生地は同じく新潟県の小千谷ちぢみ。軽く、しぼのあるさらっとした風合いが特徴の、国の無形文化財にも指定されている織物です。

見た目も涼やかな日傘。バテンレース、小千谷ちぢみ共に麻100%。

UV加工が施されていて、美しさだけでなく実用性も兼ね備えています。
持ち手のバンブーは高級感があり、手にフィットする持ちやすいカーブ。
こんな日傘があれば、出かける足どりも軽くなりそうです。

レースのつけ襟は若い子だけのものじゃない

最近、若い人たちの間で流行っている「つけ襟」。手持ちの服にプラスするだけで、簡単にイメージチェンジできる便利アイテムです。
清潔感のある白い襟は、見るからに涼しそう。「キチンと感」も演出できるので、たとえばTシャツにつけても、一気によそいきな雰囲気になります。

ところでこのレース、どこかで見覚えがありませんか? 家にあったピアノカバーやテーブルセンター、花瓶敷きなどを思い出した人も多いのでは?

バテンレースは高度経済成長期の昭和30年代以降、全国の家庭でインテリア装飾として普及していきました。ところがその後、中国から安価なレースが大量に輸入されると、上越のバテンレース産業は衰退。今、残っているのは「吉田バテンレース」のみとなってしまいました。
現在ではファッション小物としての需要が多く、つけ襟や日傘のほか、ブラウスやバッグなども人気です。

プレーンなデザインの服もレースのつけ襟ひとつで雰囲気をガラッと変えられます。

ハンディ扇風機ではなく、あえて扇子を

気温だけでなく、湿度も高い日本の夏。さっと風が吹くだけで体感温度は一気に下がります。最近ではハンディファンなどもありますが、ここはひとつ日本古来の扇子のよさを見直してみませんか?

涼やかな透け感が和装にも洋装にも映えます。

扇子のよさは何と言ってもその省スペース性。使わない時はバッグの中にシュッと収まっているのに、出番となると大きく広がって風を作ってくれる頼もしさ。
扇子を広げる所作やあおぐ姿も優雅です。

シャネルのデザイナーも務めた、かのカール・ラガーフェルドの扇子好きは有名でしたね。
大人の暑さ対策は、「用と美」を兼ね備えた逸品で。

中骨に掘られた流れるようなバラ柄が優美。

撮影/鈴木正美 取材・文/依田邦代


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