【川口市・タクシー運転手銃撃事件】夜の街でモテモテだった“イケおじ“社長が人生を“転落”させるまで

強盗殺人未遂の疑いで逮捕された瀬川好一容疑者(写真・時事通信)

「瀬川さんは、いくつも会社をやっていて、きっぷのいい人でしたよ。なぜこんなことに……」

と語るのは、瀬川好一容疑者(68)の10年来の知り合いだという女性だ。

5月29日の深夜、一発の銃声が、川口市幸町に響き渡った。客として乗車していた瀬川容疑者が、72歳の運転手に対し「カネを出せ」と脅したうえ、拳銃を発砲。脇腹を撃たれた被害男性は、全治1カ月の重症を負った。

「埼玉県警は、防犯カメラなどから瀬川容疑者を特定。強盗殺人未遂の疑いで公開捜査に踏み切ったところ、わずか2時間半後に、大宮駅で瀬川容疑者の身柄を確保しました。同容疑者は事件後、福島県の知人女性を訪れていたことがわかっています」(社会部記者)

容疑者を知る男性は、容疑者が会っていたのは「奥さんでしょうね」と語る。

「瀬川さんは福島県出身。県内に自宅があり、奥さんと3人の子どもがいます。さらに孫もいますよ。仕事のために単身で埼玉に来ていて、実質、福島と埼玉の2拠点生活だったようです。複数の会社を経営する社長さんで、何回もクラブに連れていってもらったことがあります」

実際、瀬川容疑者は1999年から2012年の間に、少なくとも3つの会社の代表取締役に就いていた。その事業内容は建築関係や人材派遣、産業廃棄物処分、中古車販売など、多岐にわたっていたようだ。

夜の街では羽振りがよく、“モテモテ”だったという。

「高級クラブでは、1回で15~20万円も払ってくれました。しかも、ほぼ毎日のように通っていましたからね。年齢はいってるけど、おしゃれだし、愛嬌もあるので、お店の女性たちにも人気でしたよ。いわゆる“イケおじ”ですね。一時期は、あるクラブの女性と川口で同棲していました」(前出・知人男性)

趣味はゴルフ。プロ級の腕前だったという。

「スコアの平均は80台。ドライバーで300ヤード飛ばすほどの“剛腕”でもありました。以前、ゴルフコンペで優勝したときは、満面の笑みでスピーチをしていました」(前出・知人女性)

気さくでおしゃれで、リッチな社長――。“タクシー強盗”とはまるで縁がなさそうだ。ところが、数年前から瀬川容疑者は別人のように荒れるようになったという。

「ふだんは、どちらかといえばおとなしく、シャイなのですが、あるときから、お酒が入るとカーッと激しくなり、ほかのお客さんに対して『コノヤロー、バカヤロー』と暴言を吐くようになったんです。以前から、飲むと気が大きくなるタイプではあったのですが、あまりにひどくなっちゃって。

ついさっきまで仲よく楽しげに飲んでいた人に対しても、目が合うと『何見てんだよ、この野郎』と突然、言い出して、ケンカになる。2年ほど前には、飲食店のなかで大ゲンカになり、グラスを投げ合ってたいへんなことになりました。瀬川さんいわく、その場で逮捕され、しばらく留置場にいたとのことです。かつては川口の飲み屋街の人気者だったんですが、荒れるようになってからは、飲み仲間とも疎遠になったようです。同棲していた“彼女”とも別れたと聞きました」(同前)

瀬川容疑者が荒れるようになった背景には、仕事上の行き詰まりがあったという声もある。

「5年ほど前まで、川口市内に会社の事務所がありましたが、突然、本人も従業員もいなくなりました。本人も『夜逃げしたんだよ』と話していましたね」(前出・知人男性)

経営が行き詰まり、彼女も友人も失った瀬川容疑者。追い詰められた果ての犯行だったのか……。だが、謎はまだ残されている。

「拳銃を持っていたということですが、どうやって手に入れたのか、ぜんぜんわからないんです。ヤクザとのつき合いはなかったし、ましてや『拳銃を持っている』といった話を本人から聞いたこともありませんでした。いつも小脇にセカンドバッグを抱えて歩いていましたが、まさかあのなかに入っていたのだとすれば恐ろしい。それに、いくら経営が苦しかったからといって、タクシー強盗をするほどお金に困っていたとも思えないんです。こんな事件を起こす前に、誰か相談できる人はいなかったのか……」(前出・知人女性)

瀬川容疑者の真の動機が明らかになるのはこれからだ。

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