【安田記念】馬場悪化なら差し追込み勢が力を発揮 東大HCの本命はセリフォス

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春のマイル王決定戦

日曜日、東京競馬場でGⅠ・安田記念が行われる。連覇を達成したソングラインが引退し、昨年の2着セリフォスや4着ガイアフォース、他にもナミュールやソウルラッシュといった昨秋のマイルCS好走馬、香港からロマンチックウォリアーとヴォイッジバブルが参戦。マイル王を決めるに申し分ないメンバーが揃った。

当日は雨が降る可能性もあり、荒れた馬場での競馬も予想される。果たしてどの馬が栄光を掴むのか。今週も過去10年データから検討する。

差し追込みを例年以上に重視

<安田記念の前走別成績>
マイラーズC【1-0-4-33】勝率2.6%/連対率2.6%/複勝率13.2%
ヴィクトリアM【2-4-0-10】勝率12.5%/連対率37.5%/複勝率37.5%
京王杯SC【1-1-1-22】勝率4.0%/連対率8.0%/複勝率12.0%
大阪杯【0-0-1-11】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率8.3%
※大阪杯はGⅠ昇格以降

まずは臨戦過程別の成績を確認したい。出走頭数が最も多いローテーションは前走マイラーズC組。今年もソウルラッシュ、セリフォス、エアロロノア、コレペティトールの4頭が該当する。しかし出走数の割に成績は振るわず、勝ち馬は19年のインディチャンプのみ。また、そこでの着順が安田記念に直結しない点が特徴で、3着以内が【0-0-2-20】である一方、4着馬が【1-0-1-3】、15年にはクラレントが10着から本番安田記念を3着と激走した。エアロロノアやコレペティトールなど前走振るわなかった馬でも、着順を鵜呑みにして消すのは避けたい。

次にヴィクトリアマイル組。6連対を挙げており、複勝率で見ても今回取り上げた4レースでトップだ。ただし、勝ち馬【1-2-0-0】以外はあまり振るわず、2、3着馬は【0-0-0-6】。フィアスプライドは初GⅠながら2着と好走したが、データ的には今回推奨しづらい。5着からは19年2着アエロリット、22年1着ソングラインの連対例があり【1-1-0-0】。6着以下は【0-0-0-3】と逆転が難しく、昨年のナミュールもこれに該当(7着→16着)した。

次に京王杯SC組。前述の2つに比べると見劣りする成績。ただ、同レースで追込みかつ上がりが2位以内の馬は【1-1-1-6】と悪くない。レッドモンレーヴはこれに該当する。

大阪杯組(GⅠ昇格以降)で馬券圏内に入ったのは18年3着スワーヴリチャードの一度だけで、前走1着以外だと掲示板は19年5着サングレーザーのみ。ステラヴェローチェは勝ち馬と0秒1差の4着。同コースで不良馬場のサウジアラビアRCを勝利していて、馬場状態次第でチャンスありか。

ほかのローテーションも一部簡単に確認しておく。高松宮記念組は【1-0-1-9】。好走したグランアレグリア、サリオスはともに東京マイルで重賞勝ちがあった点でウインカーネリアンと共通している。ダービー卿CT組は【2-0-0-8】。2勝はGⅠを複数勝利したモーリス、ロゴタイプであることを考えると、厳しいローテーションといえるだろう。

<安田記念の脚質別成績>
逃げ【1-2-0-7】勝率10.0%/連対率30.0%/複勝率30.0%
先行【1-2-1-31】勝率2.9%/連対率8.6%/複勝率11.4%
差し【6-4-5-52】勝率9.0%/連対率14.9%/複勝率22.4%
追込【2-2-4-40】勝率4.2%/連対率8.3%/複勝率16.7%

次に脚質別成績を見てみよう。逃げ馬は一見数字がいいものの、過去4年は馬券圏外。先行馬は過去5年全て着外に沈んでいる。逃げ先行馬の好走例はモーリス(15、16年)、ロゴタイプ(16、17年)、アエロリット(18、19年)と最終的に安田記念で複数回好走した馬ばかりで、ほかは15年クラレントの3着があるだけ。日本勢で有力な先行馬はパラレルヴィジョン、フィアスプライドが挙げられるが、彼らと並ぶほどの力を持つかが判断の基準になる。同じく先行策が予想される香港馬ロマンチックウォリアー、ヴォイッジバブルにもこの問題は付きまとう。

やはり軸に据えたいのは8勝を挙げる差し追込勢。特に馬場が渋った14年、20年は馬券圏内が全て3角8番手以下。不良馬場だった14年は断然の1番人気ジャスタウェイが勝ったにもかかわらず、2着グランプリボス(16番人気)、3着ショウナンマイティ(10番人気)の波乱で3連単配当は37万円を記録。人気薄の差し追込も警戒したい。もちろん速い上がりは必要であり、前走差し追込みで上がり2位以内なら【5-2-3-34】、さらに前走2着以内だと【4-2-3-18】。該当馬のソウルラッシュ、セリフォス、レッドモンレーヴが筆頭候補になる。

ライバル引退で絶好のチャンス

◎セリフォス
一昨年のマイルCS以降勝ち星から遠ざかっているが、3歳時の安田記念で0秒1差4着、昨年の安田記念で2着と好走している。前走はソウルラッシュに敗れて直接対決では3連敗となったが、斤量+1kgの不利があり、対戦成績は4勝3敗と未だ勝ち越している。特に東京芝1600mでは3戦いずれも同馬に先着しており、この舞台への適性は上回っている。鞍上もこのレース過去10年で3勝の川田将雅騎手と盤石。ソングライン、シュネルマイスターが引退した今、東京のマイル王にふさわしいのはこの馬だ。

◯ロマンチックウォリアー
香港の現役最強中距離馬。マイルGⅠの経験は一度のみで2着に敗れているが、そのときの勝ち馬はゴールデンシックスティ、マイルの香港最強馬だ。マイル適性に文句がつくものではない。唯一の不安材料は先行タイプであることだが、ねじ伏せるだけの能力は持ち合わせており、日本勢を圧倒する可能性さえあるだろう。

▲ソウルラッシュ
前走マイラーズCを上がり最速で快勝。渋った馬場でのレースは全く問題ない。しかし同レースはセリフォスと斤量差があった点、安田記念では一昨年13着、昨年9着と適性面で不安が残る点などを考慮し、▲評価とした。

以下ガイアフォース、レッドモンレーヴ、エアロロノアまで印を回す。馬券は◎軸、◯以下相手の3連複10点で勝負する。

▽安田記念予想▽
◎セリフォス
◯ロマンチックウォリアー
▲ソウルラッシュ
△ガイアフォース
×レッドモンレーヴ
☆エアロロノア

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。



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