小6女児同級生殺害事件から20年 大久保小で集会、児童ら黙とう 「一人に一つの命 大切に」 

児童に命の大切さを説く黒田校長=佐世保市立大久保小

 佐世保市立大久保小で2004年、6年生の御手洗怜美さん=当時(12)=が同級生に殺害された事件から20年となった1日、同校の体育館で「いのちを見つめる集会」が開かれた。出席した約100人の児童らは黙とうして被害者を追悼し、自分や他者の命を大切にすると誓った。
 黒田優一校長は講話で、児童に自分らしく生きているか、自分の命も周りの人の命も大切にしているか、問いかけた。その上で「命があるから遊んで勉強し、笑って楽しく生活し、生きていける。命は一人に一つ。命を大切にして自分らしく今を一生懸命生きよう」と呼びかけた。
 講話後、同小のシンボルである「輝きっ子クローバー」について6年代表者2人が、四つ葉はそれぞれ子どもや家族、地域の人々、学校教職員を表すと説明。各学年の児童たちが考えた命の重さや人権への思いを発表した。事件後、子どもたちが作詞、作曲を手がけた「大切な友達」と校歌を斉唱。集会には児童のほか、教員や地域住民など計164人が参加した。
 集会で事件の概要について説明しなかった点について黒田校長は報道陣に「子どもたちの発達段階を考えている。集会は命の大切さについて振り返り、自分自身の生き方を見つめ直す場であり、事件の恐ろしさなどを伝える必要はない」と強調した。
 集会後、黒田校長は事件現場の学習ルームを改修した「いこいの広場」でかつて御手洗さんが好きだったというヒマワリの花を献花し、手を合わせた。
 事件は04年6月1日の給食準備中、同校の学習ルームで発生。当時11歳だった女児が同級生の御手洗さんにカッターナイフで切り付け、殺害した。加害女児は長崎家裁佐世保支部の少年審判を経て同年9月、児童自立支援施設に入所した後、社会復帰した。

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