吉沢亮の瞳が印象的なカットも 呉美保監督9年ぶりの長編映画 「ぼくが生きてる、ふたつの世界」場面写真

呉美保監督の9年ぶりとなる長編映画最新作「ぼくが生きてる、ふたつの世界」の劇場公開日が2024年9月13日に決まり、新たな場面写真が公開された。また、第26回上海国際映画祭のコンペティション部門に正式出品されることが発表された。

場面写真では、吉沢亮が演じる主人公・五十嵐大の瞳が印象的なカットのほか、東京から故郷・宮城へと向かう車内の姿、数年ぶりに故郷に戻ってきた大人になった大と、子供の頃の大が橋を渡るシーンなど、本作の空気感と大の心情が描き出されている。さらに、少しぎこちない母・明子(忍足亜希子)と大の場面や、父・陽介(今井彰人)と母の愛情あふれる子供のころの家族写真など、“きこえる世界”と“きこえない世界”を行き来する大の人生の、懐かしく温かな瞬間が切り取られている。

コンペティション部門に正式出品される上海国際映画祭は、1993年に始まり、中国で唯一の国際映画製作者連盟公認の映画祭。昨年は、熊切和嘉監督作品「658km、陽子の旅」が、最優秀作品賞、最優秀女優賞(菊地凛子)、最優秀脚本賞(室井考介)の三部門を受賞した。今年の審査員長を務めるのはトラン・アン・ユン。

「ぼくが生きてる、ふたつの世界」は、五十嵐大の実録ノンフィクション「ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと」を原作とした作品。宮城県の小さな港町で暮らす五十嵐家に、男の子が生まれる。両親、祖父母は“大”と名付けて誕生を喜ぶ。ほかの家庭と少しだけ違っていたのは、父・陽介と母・明子の耳がきこえないことだった。幼い大にとって、時には母の“通訳”をすることも“ふつう”の楽しい日常だった。しかし成長とともに、周囲から特別な目で見られていることに戸惑い、いら立ち、母の明るさすら疎ましく思いはじめ、冷たい態度をとることが増えていく。20歳になり、逃げるように東京へ旅立つ大。数年後の帰郷したある日、記憶の底に隠れていた母への思いもかけない気持ちがあふれ出す。

コーダ(Children of Deaf Adults/きこえない、またはきこえにくい親を持つ聴者の子供という意味)という生い立ちを踏まえて、社会的マイノリティに焦点を当てた執筆活動をする作家・エッセイストの五十嵐大の原作を、「きみはいい子」から9年ぶりの長編作品となる呉美保監督が映画化。話題作から作家性の強い監督作まで幅広い作品に出演を続ける吉沢亮が主演する。脚本は、「正欲」「アナログ」「とんび」などを手掛けた港岳彦が担当する。

上海国際映画祭の正式出品を受け、呉美保監督と上海国際映画祭の徐昊辰(じょこうしん)プログラミング・ディレクターによるコメントも公開された。コメントは以下の通り。

【コメント】

■監督:呉美保
この映画のワールドプレミアが上海国際映画祭コンペティション部門だなんて、これほどしあわせな幕開けがあるでしょうか。日本の片隅で人知れずもがきながら生きる男の子のささやかな心の機微を、アジアの、世界の、みなさまがどう受け取ってくださるのか、その反応をこの肌で感じに、さらには選ばれし新しい映画たちにも出会いに、いざ上海、行ってきます!

■徐昊辰:上海国際映画祭プログラミング・ディレクター
きこえる世界、きこえない世界、そして、そこに生きている1人のコーダ。呉美保監督は、優しい視線で彼の揺れ動く心の成長を静かに見守っている。"ふたつ"の世界は、"ひとつ"になった時、きっと一番幸せに違いない。こんな素敵な作品を上海国際映画祭でワールドプレミアができるとは、最高に嬉しい!

【作品情報】
ぼくが生きてる、ふたつの世界
2024年9月20日(金) 新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー
配給:ギャガ
©五十嵐大/幻冬舎 ©2024「ぼくが生きてる、ふたつの世界」製作委員会

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