陸上・女子400m 鷹島出身の2年生北川(口加)独走初優勝  長崎県高総体

【陸上女子400メートル決勝】56秒17で独走Vを飾った北川(口加)=諫早市、トランスコスモススタジアム長崎

 北の端から、陸上をするために南の端へと渡った少女が軽やかに初優勝を飾った。陸上女子400メートルは鷹島出身の2年生、北川(口加)が56秒17で独走V。「離れて暮らす家族にいい報告ができる」と無邪気に喜んだ。
 外側8レーン、さらに向かい風が吹く難しいコンディションでも臆することなく飛び出した。「いいリズムを心がけた」と軽快にピッチを刻み、スピードを落とさずにトラック1周を駆け抜けた。
 長崎県北部にある松浦市の離島、鷹島生まれ。両親、兄姉、祖父母の7人家族で、たくさんの愛情を注がれて育った。中学卒業を前に「近くにしっかり陸上をできる環境がないから」と実家を離れることを決意。鷹島は佐賀県唐津市と橋でつながっており、佐賀や福岡の強豪校の方が近い。それでも「南島原は鷹島と似ていて田舎だからいい」と実家から車で片道3時間かかる口加を選んだ。
 にぎやかな家庭から一転、下宿生活に。寂しさのあまり、1年時は授業中に涙が出る日もあった。それでも「陸上をやりに来た」とぶれずに走り続け、準決勝落ちした昨年の県高総体から実に5秒以上もタイムを短縮。大会記録55秒85にも手の届く選手に成長した。
 家族からは「鷹島からいろんな場所に応援に行けるように活躍して」とリクエストを受けている。残念ながら、今年のインターハイは福岡と近場だが、まだ2年生。もっとビッグな選手になって家族孝行するつもりだ。

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