好セーブ披露も痛恨の引き分け…。第3GKスタートから先発をつかんだ三重GK松本龍典「次は絶対勝利で終えたい」

JFL第10節ソニー仙台対ヴィアティン三重戦が宮城・角田市陸上競技場で1日に行われ、1-1で引き分けた。この日今季リーグ初先発となったGK松本龍典が好セーブを見せてチームを支えた。

安定感のあるセービングでチームを救い続けた。前半はソニー仙台のシュートをゼロ本に抑え、正確なコーチングと出足の早いハイボール処理などでゴール前に堅い鍵をかけた。だが後半は相手の猛攻を受け、後半47分に痛恨の失点で追いつかれた。好セーブを見せてチームの危機を救い続けたが、勝ち点2を取り逃した守護神の表情は曇っていた。

「天皇杯で出場していたので、公式戦というのは変わらないですし、いつも通り試合に臨めたと思っています。最後守り切るという方針で、全体としても足が止まった中、あそこでシュートを打たれてしまいました。あそこでチームを救わないと優勝、昇格から遠のくようなゲームだったと思う」と唇をかんだ。

先月26日に開催された天皇杯1回戦J3・FC今治戦で先発した松本はシュート11本の猛攻を受けるも、全員守備で切り抜けて格上相手に1-0勝利を掴み取った。この結果が実る形でリーグ戦初先発をつかみ取った松本だが、シーズン開幕当初は第3GKからのスタートだった。

三重のGK陣は松本を含めて3選手が所属しており、三重が誇る絶対的守護神のGK森建太、昨季大学サッカーの全国大会の総理大臣杯で富士大を全国制覇に導いたGK折口輝樹と強力なライバルがいる中で、先発を確保した。

「最初は3番手というところで悔しい部分はあったんですけど、自分がいつも準備しているところは変わらずに試合に出るイメージを持ちながら、練習に取り組むことができた結果が1番手になることができたかなとは思います。

大事なことは常に準備し続けるというところと、いかに自分の試合のイメージを持ちながら日々を過ごすかを大切にしています。

ただ出るだけじゃなくて結果に残すことがすごく大切になってくる。出るからには責任もありますし、自分がもっと上に行くためにここに満足せずにもっと上を目指していきたいです」と胸を張った。

森も折口も競い合うライバルだが、GKはフィールドプレイヤーと分かれて練習に取り組むため強い仲間意識を持っている。

イレブンの活躍を見守るGK森(左端)

「自分を奮い立たせて『自分が試合に出てやるんだぞ』という気持ちを常に持ちながらもちろんやっています。

かといってライバル関係でありますけど、日々狭いコミュニティの中でキーパーは日々過ごしてるので、自分が成長するために分からないことは二人によく聞きます。

自分のポジショニングや、考えを共有することで、自分だけじゃなくて二人にもすごくためになることを思って常に話している。いい関係性だなと思っています」

ライバルであり、仲間でもあるGK陣との切磋琢磨で成長の歩みを進めてきた松本の表情は充実しているように見えた。

高校の先輩の背を追う

桐蔭学園高出身の松本は1学年上にJ1鹿島アントラーズGK早川友基が在籍していた。早川は高校卒業後に明治大へ進学し、2019年に総理大臣杯、インカレと2度日本一に輝いた。大学最高のGKとして鹿島に入団すると昨季から正守護神の座を確保し、強豪のゴールマウスを守っている。

鹿島GK早川

松本は「何でもできる印象が高校からの印象で、チームを救うプレーがすごく多い。自分もそこを常に聞いて、真似をしました。

いまでも試合映像を見ると、チームを救っているプレーがすごくたくさんあるので、そこはすごく参考にしている選手です。自分もそんな選手になりたいなと思いつつ、(早川を)超せるように日々やり続けるのみだと思います」と尊敬する先輩の背中を追い続けている。

三重は直近3試合2分1敗と勝ち星から遠ざかっている。次節は9日(午後1時)にアマチュア最強といわれるHonda FCをホーム・四日市市中央陸上競技場で迎える。

三重県初のJリーグ参入と初のリーグ制覇を狙う三重はこれ以上勝利から遠ざかるわけにはいかない。第1GKの座をつかみ取った松本は勝利を渇望している。

「終わったことは取り戻せないので、次のHonda戦に向けて勝利へとつなげていきたいです。

良くない状況でも、このままで終わらせないチームがヴィアティン三重ですし、しっかり検証して二度と起きないように次の準備をしないといけないです。

一人、一人が自分含めてこの今年に懸ける思いをもっと全員が出して、自分は人生かけるつもりでやって常にやっています。もっとそれを前面に出して次は絶対勝利で終えたいと思っています」と闘志。

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第3GKから正守護神を勝ち取った松本がゴールマウスに鍵をかけ、三重を悲願の優勝へと導いてみせる。

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