人の頭よりデカいなんて! 昔の少年バトル漫画に登場する「デカすぎる豪拳」登場シーン

ゼノンコミックスDX『北斗の拳【究極版】』10巻(徳間書店)

少年漫画のバトルシーンでは、迫力を演出するために拳が異常に大きく描かれていることがよくある。現実でもボクシングなどの試合で繰り出されるパンチがとても大きく見え、より迫力のあるパンチに感じることもあるだろう。

しかし昭和の時代に人気を誇った少年漫画は、その豪拳の大きさがハンパじゃないのだ。なかには人の身長に匹敵するようなデカい拳も登場し、その強さを知らしめている。今回はそんな昔の少年バトル漫画に登場する“デカすぎる豪拳”の登場シーンを紹介したい。

■デカい拳といえばこの人『北斗の拳』ラオウ

まずは、豪拳といえばこのキャラ『北斗の拳』のラオウを紹介したい。原作:武論尊氏、作画:原哲夫氏による『北斗の拳』は、1983年から『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載がはじまった。主人公・ケンシロウをはじめとした圧倒的な強さと存在感を放つキャラクターが多く登場し、40年以上が経った今でも衰えない人気を誇っている。

なかでも、ケンシロウの義兄であるラオウの豪拳シーンは有名だ。まずは南斗五車星である風のヒューイとの戦いを描いた「南斗ついに起つ!! の巻」では、「はあ~!!」と空中から飛び掛かったヒューイに対し、ラオウが思い切りパンチを喰らわす。その拳の大きさはヒューイの頭がラオウの親指の爪より少し大きいくらいであり、まるで車1台分はありそうだ。

またケンシロウとの戦いが描かれている「血の奔流!の巻」でも、ケンシロウへ繰り出したパンチのデカさはもはや人間のそれではない。

ケンシロウはそのデカい拳の中指を右手一本で受け止めるが、ラオウの拳の大きさは30インチのモニターほどあるように見える。ラオウは『北斗の拳』の戦いにおいてもっともケンシロウを苦しめた人物であり、その豪拳のデカさはもはや人間離れしているのである。

■推定1m以上の手のひら!!『魁!!男塾』大豪院邪鬼

1985年から1991年まで『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて連載された宮下あきら氏の『魁!!男塾』にも、とてつもなくデカい手が登場する。その手の持ち主が、男塾三号生筆頭である大豪院邪鬼だ。

邪鬼は男塾の帝王であり、登場当初は主人公・剣桃太郎たち一号生のライバルであった。邪鬼らによって兄を殺されてしまった富樫源次は邪鬼に恨みを持ち、単身乗り込んでいく。しかしそこに登場した邪鬼は、推定10mほどある巨人だった。それでもひるむことなく刃物を手に向かう富樫だったが、邪鬼のバカでかい手のひらに阻まれてしまうのだ。

今回このページをあらためて調査したところ、刃物を持つ富樫の拳がだいたい15cmだとして、邪鬼の手のひらはそのおよそ約7倍。ざっと計算すると手のひらは105cmにもおよび、4歳~5歳の子どもの身長と同じくらいだ。しかも邪鬼の場合、戦いによって手がデカく見えるのではなく、実物大の手のひらがこれほどデカいのが恐ろしい。

しかし邪鬼は、その後桃太郎と戦う時には普通の人間サイズに戻っている。その理由を桃太郎は“異様に大きく見えたのは畏怖のなせるわざ”と後述しており、実際の大きさは身長2mくらいの男性となる。

そんなバカな……とも言いたくなるが、邪鬼のデカさはこの作品を語るうえでは欠かせない魅力なのである。

■悪になった拳はデカい『聖闘士星矢』フェニックス一輝

『聖闘士星矢』は、同じく1985年より『週刊少年ジャンプ』にて掲載された人気作品だ。今年画業50周年を迎えた著者の車田正美氏だが、現在『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)で『聖闘士星矢 NEXT DIMENSION 冥王神話』を連載している。

そんな本作にも人並外れた豪拳シーンが登場する。「フェニックス!地獄よりの戦士の巻」で、パンチを放ったのは青銅聖闘士の1人であるフェニックス一輝。

もともと主人公の星矢とともに孤児院で育った弟想いの少年だったが、壮絶なデスクイーン島での修行が彼を悪に変えてしまった。その後、星矢たちと再会するトーナメントで、一輝はウルフと対戦。“お前だけでなく全員この世の地獄を見てきた”のセリフにキレた一輝は、ウルフに軽自動車ほどあるようなデカいパンチをお見舞いするのであった。

一輝の豪拳は相手の精神を破壊する威力があるため、ウルフは自分の体がバラバラになる幻覚を見て卒倒してしまう。デカいパンチの威力に加え、精神的なダメージも受けてしまうこのパンチ、今回紹介した豪拳のなかではもっとも受けたくないパンチと言えそうだ。

少年バトル漫画において見どころでもある、迫力のあるパンチや豪拳が登場するシーン。それがたとえ人間離れした大きさであっても、その作品の雰囲気やストーリーを盛り上げるには欠かせない演出と言えるだろう。

少年漫画には今回紹介した作品以外にも、凄まじい大きさのパンチや攻撃が繰り出される。圧倒的な威力の技の数々が、読者を熱狂させる理由の1つとも言えるだろう。

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