『ミス・ターゲット』すみれと宗春の“交わらない”運命 鈴木愛理演じる萌の過去も明らかに

『ミス・ターゲット』(ABCテレビ・テレビ朝日系)第7話からは、第二章がスタート。詐欺罪で逮捕されたすみれ(松本まりか)が刑期を終えたあと、3年後の世界が描かれていく。

宗春(上杉柊平)の影響で、すみれは小さな幸せを見つけられるようになった。好きでもない相手と食べる高級ディナーより、大好きな弥生(筒井真理子)と行くラーメン屋さんの方が楽しいこと、大金を叩かなければ買えないブランド品に囲まれて生きるのもいいけれど、数百円で手に入れられる花を愛でる生活も、案外悪くないこと……そんな小さな幸せをかき集めて生きるうちに、心なしかすみれの表情は穏やかになってきた。

その一方、宗春もすみれの影響を受けて大きく変わってしまっていた。一つひとつ手作業で、お客様に美味しい和菓子を提供できればそれでいいと思っていた宗春は、もういない。すみれの“もっともっと病”が移ってしまったのだろうか。ネットにデパートにコンビニに……と、事業を大きくしていくうちに、すべての作業をオートメーション化しなければ間に合わなくなってしまった。

あの日、すみれと宗春が試行錯誤して作った月の花は、もうどこにも存在しない。2人とも、お互いのことが好きだから、相手の気持ちに寄り添えるように努力しただけなのに。大好きな人にちょっとでも近づける自分になりたいと思っただけなのに。なぜ、こんなにも離れていってしまうのだろう。すみれと宗春は、交わらない運命だったと思うしかないのだろうか。

また、第7話では鈴木愛理が演じる萌の過去も明らかになった。

嘘をつくのが下手くそで、どこからどう見てもピュアな萌が、結婚詐欺師を目指すようになったきっかけは、すみれにある。恋人にお金を騙し取られて自暴自棄になり、人生を諦めそうになったとき、「復讐してあげようか?」と声をかけてくれたのが、すみれだった。

誰かを騙すのって、大きなリスクがある。大金を得られることでプラマイゼロになっているのかもしれないが、このときのすみれは萌の元恋人から奪い取ったお金を、すべて萌に託したのだと思う。

自分の利益はないのに、ただリスクだけを背負って、見知らぬ女の子を助けようとした。やっぱり、すみれはただお金のことだけを考えている人じゃない。弱い人には、ちゃんと寄り添える優しさを持っている。

死を選ぼうとするくらいに絶望を感じていた萌にとって、すみれは“光”のような存在に見えたに違いない。結婚詐欺師なんて、限りなく“闇”に近い仕事だけれど、萌にとってはどうしようもなく輝いて見えたのだと思う。

それなのに、なぜ萌は宗春の会社の代表取締役社長に就任していたのか。もちろん、恩人であるすみれのために、宗春を守ろうとしたのなら分かる。でも、だとしたらすみれに向かって「部外者が口出さないでください」なんて冷たい言葉を吐き捨てるだろうか。

これまで萌は、ホワホワとした癒し系のオーラを纏っている鈴木のイメージに近い役柄だと思っていた。しかし、どうやら第二章からはまた違った一面が見えてきそうだ。なぜ、宗春とともに働くことになったのか。あれほど慕っていたすみれのことを、敵を見るような瞳で見るようになった理由とは? まだまだ秘められた謎がたくさんある。

ちなみに、鈴木は『推しが上司になりまして』(テレビ東京系)の瞳や、『ANIMALS-アニマルズ-』(ABEMA)の海など、ピュアな頑張り屋さんという感じの役柄を演じることが多いが、『会社は学校じゃねぇんだよ 新世代逆襲編』(ABEMA)では、わがままなお騒がせモデル・一花を演じていたことも。この“悪女”鈴木愛理もかなり見応えがあったので、『ミス・ターゲット』でも、パブリックイメージとは異なる強気な表情が見られるのが楽しみだ。
(文=菜本かな)

© 株式会社blueprint